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文献詳細

雑誌文献

病院65巻3号

2006年03月発行

文献概要

特集 新しい臨床教育手法―シミュレータの活用

巻頭言 フリーアクセス

著者: 河北博文1

所属機関: 1医療法人財団河北総合病院

ページ範囲:P.197 - P.197

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 医学に関する知識は日々増大している.一人の医師が自ら身に付けておくべき知識とは何か.また,必要に応じて検索し,その時に習得すればよい知識とは何か.さらに,他の専門医に委ねることが可能な知識とは何か.そして,医療は知識だけではなく,技能と態度を習得することも求められている.科学とは体系的であり,経験的に実証可能な知識を言う.医学教育,臨床研修教育を科学的観点からその再現性や標準化を実現し,そして,どのように実際の臨床で診療効果を高めるかは検証されなければならない.

 航空機の新規開発,操縦士の訓練,あるいはNASA の宇宙飛行士の訓練には高度なシミュレータが数多く利用されている.今日,米国では,すでに,メディカル・スクールの医学教育,研修医の臨床研修教育,さらには専門医の認定・認定更新制度にもシミュレーションが活用されるようになっている.疾患,症状ごとに診療ストーリーの図書ができ,インターネットを介して場所を問わずに学べるシステムも拡大しつつある.これは,医師をはじめとする医療専門者の教育だけでなく,医療の安全性を高める観点からも極めて重要な研修システムである.米国で利用され,また開発中の多くのシミュレータはコンピュータによっての知覚,反射,行動,対話等が人間の実態と即したように作られている.そして,すべての過程が記録され再現可能である.動物を利用した動物実験ラボとはかなり基本的考え方の異なったシステムである.コンピュータによるシミュレーションを大きく分けると,(1)疾患・状態ごとのケース・メソッドに相当するシミュレーション (2)医療機器をコンピュータに接続したスキル・ラボとしてのシミュレーションそして,(3)人間に近い体形をしたロボットに多くのコンピュータ技術を搭載したシミュレータ,である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

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