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連載 医療ソーシャルワーカーの働きを検証する
[第1回] わが国における医療ソーシャルワーカーの現状と課題
著者: 竹内一夫1
所属機関: 1平安女学院大学
ページ範囲:P.486 - P.488
文献購入ページに移動社会福祉施設あるいは機関での援助と医療機関での援助が大きく異なる点は,社会福祉施設・機関が,人々の生活支援をその第一義的な援助目的に置くのに対し,医療機関は患者の生命活動の維持とその支援を第一義的な目的にすることにある.すなわち社会福祉施設で第一義的な支援とされる患者・家族の生活支援や,療養を妨げる諸問題解決への支援であるソーシャルワーク援助は,医療機関では第二義的なものと位置づけられるがゆえに,その業務は保険点数化されていない.人々も以前は,医療機関の第一義的な支援である治療のみを求めていたし,それで満足できていたのである.
しかし社会は複雑化し,人々のつながりは希薄になり,地域の保育力,介護力が減退してくるに従って,人々の療養環境の整備が必要とされるようになってきたのである.さらに,診断,治療が高度化し,複雑化してきた医療環境の中で,患者や家族が,自らの意思をしっかり表明し,自ら治療や検査の方向性を決定していくことは決して容易なことではなく,医療システムと患者・家族システムの調整を図り,情報の共有化をサポートするような援助がますます重要になってきている.現在の医療機関でこれを担うのが,医療ソーシャルワーカーである.
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