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特集 医療のパフォーマンス評価
救急医療における臨床指標の適用
著者: 有賀徹1 林宗貴1
所属機関: 1昭和大学医学部救急医学講座 2関東労災病院救急部
ページ範囲:P.564 - P.567
文献購入ページに移動ER(Emergency Room:救急室)に患者が搬入される時,医療チームは救急隊からの患者情報によって様々な準備を行う.例えば,初療でのバイタルサインの把握について,また呼吸と循環の補助をどのように行うかなどについて,あらかじめ決めておくこととなる.このような基本的な作業は,従来から多くの ER において行われてきた.最近ではこれらに加えて,標準化された診療過程である ACLS(Advanced Cardiovascular Life Support)1) や JATEC (Japan Advanced Trauma Evaluation and Care)2) などが関連医学会から示されている.
そのような標準的な診療過程は,“ばらつき” を最小限に止めているという意味で一定の水準を確保している.そして,標準化によって経験されたバリアンスなどを分析して,いわば “バージョンアップ” を図れば,質の向上へと駒を進めることができる.そのようなことから,個々の医療施設においては,パス法の利用が普及しつつあると思われる.それは,医療チームが共同で作り上げた「患者の最良の管理である」と信ずるところを示した仮説である3) という表現からも理解されるように,エビデンスに乏しくともパスによって,それなりに標準的な診療過程を実践できる方法である.後に説明するように,臨床研修医が多数参加する現場においても一定の水準で診療が進められる.ACLS や JATEC も広義には,パス法が実践されているということが可能であり,脳卒中や重症頭部外傷についてのガイドライン4,5) などもやはりそのような意義を有する.
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