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文献詳細

雑誌文献

病院65巻8号

2006年08月発行

文献概要

特集 医療と経済格差

日本社会における格差問題をどう捉えるか

著者: 大石亜希子1

所属機関: 1千葉大学法経学部総合政策学科

ページ範囲:P.614 - P.618

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 本年 2 月の衆院予算委員会で格差を巡る集中審議が行われたり,厚生労働省の本年度「労働経済の分析」(労働経済白書)でも格差問題が取り上げられたりするなど,格差問題についての社会的・政治的関心が大きな高まりを見せている.

 振り返ってみると,これまでにも何度か格差問題が注目された時期があった.例えば 1980 年代末のバブル最盛期には,フローの所得よりも,株や土地といった資産保有における格差が大きく取り上げられた.また,橘木俊詔・京都大学教授の著書『日本の経済格差』1) を発端とする 1990 年代末の「経済格差論争」では,国際的にみた日本の不平等度の位置づけが議論の中心となった.これらの過去の議論と比較すると今回は,人口高齢化が所得不平等度に及ぼす影響や,若年層における所得格差の拡大が注目されているという特徴がある.

参考文献

1) 橘木俊詔:日本の経済格差,岩波新書,1998
2) 大石亜希子:所得格差の動向とその要因:1987~2002 年.財務省財務総合政策研究所編:我が国の経済格差の実態とその政策対応に関する研究会報告書,2006(近刊)
3) 府川哲夫:世帯の変化と所得分配:1987~2002 年所得再分配調査を用いて,mimeo,2006
4) 経済企画庁国民生活局:平成 11 年版 新国民生活指標(PLI),1999
5) 大石亜希子・伊藤由樹子:所得分配の見方と統計上の問題点,日本経済研究センター会報,827 号,pp 40-45,1999
6) 大竹文雄:日本の不平等,日本経済新聞社,2005
7) 小塩隆士:人口減少時代の社会保障改革,日本経済新聞社,2005
8) 大石亜希子:子どものいる世帯の経済状況,国立社会保障・人口問題研究所(編):子育て世帯の社会保障,東京大学出版会,pp 29-52,2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

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