icon fsr

文献詳細

雑誌文献

病院65巻8号

2006年08月発行

文献概要

特集 医療と経済格差

巻頭言

著者: 広井良典1

所属機関: 1千葉大学法経学部

ページ範囲:P.613 - P.613

文献購入ページに移動
 「格差問題」が様々な形で活発に論じられるようになっていることは言うまでもない.日本において経済格差は本当に広がっているのかという事実認識や,そもそも格差というものをどう評価するかという価値判断を含め,今後もさらに様々な議論が展開していくと思われる.

 こうした中で,医療における格差問題が急速にクローズアップされるようになっている.戦後の日本の医療政策においては,国民皆保険をベースとする「アクセスの平等」が基本的な理念として存在したため,近年に至るまで「医療における格差問題」が論じられる余地は少なかった.ところが,上記のような日本社会それ自体の中での経済格差拡大という点に加えて,近年進められている医療改革(患者自己負担の引き上げ,混合診療の拡大等) の帰結としても,医療における格差というテーマが現在大きく浮上するに至っている.近藤克則氏の著作『健康格差社会』もこうした状況に一石を投じるものであった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?