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特集 医療と経済格差
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著者: 広井良典1
所属機関: 1千葉大学法経学部
ページ範囲:P.613 - P.613
文献購入ページに移動こうした中で,医療における格差問題が急速にクローズアップされるようになっている.戦後の日本の医療政策においては,国民皆保険をベースとする「アクセスの平等」が基本的な理念として存在したため,近年に至るまで「医療における格差問題」が論じられる余地は少なかった.ところが,上記のような日本社会それ自体の中での経済格差拡大という点に加えて,近年進められている医療改革(患者自己負担の引き上げ,混合診療の拡大等) の帰結としても,医療における格差というテーマが現在大きく浮上するに至っている.近藤克則氏の著作『健康格差社会』もこうした状況に一石を投じるものであった.
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