文献詳細
文献概要
特集 病院空間とまちづくり
“癒し”としての病院の緑
著者: 浅野房世1
所属機関: 1東京農業大学バイオセラピー学科園芸療法学研究室
ページ範囲:P.828 - P.832
文献購入ページに移動 筆者は植物介在(園芸)療法に関して教鞭をとっている.植物介在(園芸)療法とは,患者のセラピーとして植物を用いるものである.筆者の研究室には「具体的にはどのようなものか?」「どのようなエビデンスがあるのか?」「対象者は?」などなど,多くの質問が寄せられる.それらの質問に対して,「植物介在(園芸)療法は“人間の緑を恋う本能に基づく療法”である」と本質的に答えているため,質問者はますます理解できないようである.そこで本稿では,もう少し丁寧に「人間は緑を求めているのか?」を論じ,そのうえで具体的な緑の癒しを実施した病院事例を提示し,それがどのような効果を患者,職員,近隣市民に提供したかを記述したい.
参考文献
1)河合雅雄:なぜ緑をもとめるのか―人の本性への回帰.山口昌男,河合雅雄,他:ひとはなぜ自然を求めるのか,pp41-74,三田出版会,1995
2)Solecki R S : Shanidar IV, a Neamderthal flower burial in northern Iraq. Science 190(28):880-881, 1975
3)Shoemaker C A and P D Relf : The role of flowers and plants in the bereavement process. Final report of the Department of Horticulture, Virginia Polytechnic Institute and State University, 1990
4)松尾英輔:園芸療法を探る―癒しと人間らしさを求めて(増補版),グリーン情報,2000
掲載誌情報