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連載 病院管理フォーラム ■医事法・8
医療水準と新規医療
著者: 植木哲1
所属機関: 1千葉大学法経学部法学科
ページ範囲:P.1057 - P.1059
文献購入ページに移動これまで医療水準に関連して医療慣行や医療裁量の問題を検討してきました.もう1つ,新規医療(未確立医療)の位置づけの問題があります.医療の進歩は日進月歩の状態にあり,新しい医療技術が続々と開発される一方で,当然そこには,まだ十分に確立されていない医療が実施される可能性があります.基本的に,個々の医師の医学・医療に関する知識は過去の医学教育によって培われたものだからです.ここで学問(教育・研究)と技術(実践)の間に齟齬が生じることになり,さらにそこから深刻な法律問題が生じます.
また,医師には大幅な医療裁量が認められ(前回参照),現場の医師がどのような対応をとるべきかについては,その判断は医師に任されています.医師はプロフェッションとして職務の研鑽に励むべきことは言うまでもありませんが,この義務は新規医療(未確立医療)に対してどこまで及ぶのか,また,病院はこの新しい治療法の開発や採用に向け医師をどこまで研修させる必要があるのかが問われます.これは新人医師の研修だけでなく,専門(総合)病院が新しい治療法に取り組む際の,研修システムのあり方とも関係します.
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