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連載 今, なぜ医療経営学を学ぶのか 基本からわかる医療経営学【最終回】
医療の財務会計におけるアカウンタビリティ
著者: 兵頭和花子1
所属機関: 1兵庫県立大学経営学部
ページ範囲:P.428 - P.431
文献購入ページに移動1.会計の区分
一般に,会計は,会計情報を組織の内部に提供するのか,あるいは組織の外部に提供するのかにより,大きく2つに区分されます.前者は管理会計であり,後者は財務会計です.今回は,両者のうち財務会計を中心とした話をしていくことにしますが,その前に両者がどのように異なっているのかについて整理したいと思います.
まず管理会計ですが,管理会計とは一般に組織の経営(あるいは管理)に役立つ情報を経営者(あるいは管理者)に提供するための会計であり,内部報告会計とも呼ばれています.
一方,財務会計とは,組織の財政状態や経営成績等の情報を組織外部者に提供するための会計であり,外部報告会計とも呼ばれています.組織外部者とは,株主や債権者,取引先など,組織を取り巻く人々をいい,組織の財政状態や経営成績等の情報は,組織の業績評価,組織外部者の意思決定などに利用されます.組織は多数の組織外部者の資源によって活動を行っていることから,資源提供者である外部者へ活動について情報を提供する(報告する)責任があります.
このような責任はアカウンタビリティといわれており,報告責任あるいは説明責任ともいわれています.今回は,このアカウンタビリティの概念についてより詳細にみていくことにします.アカウンタビリティ概念は,財務会計の根本的概念の一つと捉えることができるからです.その前に財務会計が注目されるようになった理由と本節で述べている組織外部者に対する情報の開示がなぜ重要であるのかについて簡単に説明しておくことにしましょう.
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