文献詳細
文献概要
特集 どう対応する 医事紛争時代
弁護士から見た医療ADR
著者: 宮澤潤1
所属機関: 1宮澤潤法律事務所
ページ範囲:P.476 - P.479
文献購入ページに移動医療事故増加の現状
国立保健医療科学院の発表によれば,医療事故による死亡者数は交通事故による死亡者数の3倍の約2万6,000人に及ぶと推計されており(この中には不可抗力による死亡者数も含まれているため,過失を原因とする数値ではない点には注意を要する),医療事故による死亡者数の多さに驚きを隠せない.そして,医療事故を原因とする裁判も2005年で999件とほぼ毎年増加傾向を示している(表1).
裁判数を10年前と比較すると,裁判全体では約6%程度しか増加していないにも拘わらず,医療裁判は107%の増加率を示しており,全体の増加率と比較すると,その激増ぶりが理解できる.ここで注意しなければならないのは,医療裁判は激増しているものの,その裁判の結果を見てみると,50%が和解で終了し,判決まで行っているものは37.4%にすぎない点である(表2).この数字が意味するところは,裁判になった後でもなお,話し合いによる解決がなされた件数が半分あるという点である.
国立保健医療科学院の発表によれば,医療事故による死亡者数は交通事故による死亡者数の3倍の約2万6,000人に及ぶと推計されており(この中には不可抗力による死亡者数も含まれているため,過失を原因とする数値ではない点には注意を要する),医療事故による死亡者数の多さに驚きを隠せない.そして,医療事故を原因とする裁判も2005年で999件とほぼ毎年増加傾向を示している(表1).
裁判数を10年前と比較すると,裁判全体では約6%程度しか増加していないにも拘わらず,医療裁判は107%の増加率を示しており,全体の増加率と比較すると,その激増ぶりが理解できる.ここで注意しなければならないのは,医療裁判は激増しているものの,その裁判の結果を見てみると,50%が和解で終了し,判決まで行っているものは37.4%にすぎない点である(表2).この数字が意味するところは,裁判になった後でもなお,話し合いによる解決がなされた件数が半分あるという点である.
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