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文献詳細

雑誌文献

病院66巻6号

2007年06月発行

文献概要

特集 どう対応する 医事紛争時代

世界に広がる「医療事故:真実説明・謝罪運動」

著者: 埴岡健一1

所属機関: 1東京大学医療政策人材養成講座

ページ範囲:P.485 - P.489

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 医療事故の際に真実を明らかにし,過ちがあれば率直に認めて謝罪する「真実説明・謝罪ポリシー」が米国で急速に広がっている.①人道的にあるべき姿である,②医療事故に遭って傷ついた患者・家族の心を癒す,③医療事故の根本原因究明に意識が向かう,④医療過誤訴訟を減らす――といった認識が広まりつつあるからだ.


ハーバード関連病院が「謝罪マニュアル」採用

 ハーバード大学関連病院が2006年3月に「When Things Go Wrong―Responding to Adverse Events―A Consensus Statement of the Harvard Hospitals」1)(医療事故が起こった時:有害事象への対処法~ハーバード大学医学部関連病院コンセンサス文書.以下,『ハーバード大学 真実説明・謝罪マニュアル』)を発表した(表).マサチューセッツ総合病院,ダナ・ファーバーがん研究所など16病院が共同作成し,順次,各病院それぞれの運用に取り入れられようとしている.ハーバード大学関連病院といえば,米国でも大きな影響力を持っている存在であり,ここで導入が進む意義は大きい.

 このマニュアル作成を牽引した1人が,ルシアン・リープ氏.米国で早くから医療事故の発生頻度などについて研究を行い,米国医学研究所(IOM)の報告書『To Err is Human(人は誰でも間違える)』に大きな影響を与えた人物である.リープ氏はマニュアルのエッセンスを次のように語る.

参考文献

1)When Things Go Wrong―Responding to Adverse Events―A Consensus Statement of the HarvardHospitals http://www.macoalition.org/documents/respondingToAdverseEvents.pdf
2)Hillary Rodham Clinton, Barack Obama : Making Patient Safety the Centerpiece of Medical Liability Reform,The New England Journal of Medicine 354 : 2205-2208,2006
3)COPIC 3 Rs プログラム http://www.callcopic.com/
4)APOLOGY IN COLORADO By Bill Scanlon : Some doctors get break on insurance State's malpractice rates, flat in 2006, to decline in 2007, Rocky Mountain News November 29, 2006
5)Sorry Works! Coalition http://www.sorryworks.net/
6)Being open-communicating patient safety incidents with patients and their carers http://www.npsa.nhs.uk/health/resources/beingopen?contentId=3341
7)Open Disclosure Standard : A National Standard for open communication in public and private hospitals, following an adverse event in health care http://www.safetyandquality.org/
8)埴岡健一:米国の「医療事故:真実告知・謝罪マニュアル」は日本に普及するか,医療の質・安全学会誌 2(1),2007
9)医療事故:真実説明・謝罪マニュアル「本当のことを話して,謝りましょう」 http://www.stop-medical-accident.net/html/manual_doc.pdf
10)埴岡健一:医療事故・過誤が起きたら「真実説明・謝罪マニュアル」で対処しよう,全国社会保険連合会広報誌「すくえあ 4 月号」,2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

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