icon fsr

文献詳細

雑誌文献

病院66巻6号

2007年06月発行

文献概要

特集 どう対応する 医事紛争時代

「診療行為に関連した死亡の調査分析に係るモデル事業」における「紛争解決システム」

著者: 稲葉一人123

所属機関: 1姫路獨協大学法科大学院 2久留米大学医学部 3元大阪地方裁判所

ページ範囲:P.490 - P.494

文献購入ページに移動
 本稿は,医療事故を巡る法的責任追及のルールを概観したうえで,モデル事業が創設されるに至った法的背景を説明し,合わせてモデル事業の「紛争解決」という観点からの達成点と未達成点(今後の課題)を示す.


問題状況

1.医療のリスクとリスクマネジメント

 医療はリスクに満ちており,患者にリスクを加えて,健康を回復する(例えば,開腹手術をすることや本来異物である薬を投与することなど).同時に,患者は通常,疾患を有する「vulnerable(弱い)」人である.しかし,同じ薬でも患者によって効く・効かないがあり(医療の患者依存性),それらをすべて予測し(それは確率情報にすぎない),すべてに対処することは難しい(費用対効果の観点から).また,医療は人間の手による限り(人を interface としている),医療者には処置の「うまい」あるいは「下手」があり,その過程でミスが介在することを完全になくすことはできない(医療の医療提供者依存性).このようなリスクが顕在化すると医療事故となる.

参考文献

1)吉田謙一,武市尚子,池谷博,木内貴弘,稲葉一人,瀬上清貴:届出るべき「医療関連死」について,日本医事新報 4209:55-61,2004
2)吉田謙一,武市尚子,河合格爾,池谷博,稲葉一人,瀬上清貴:国際比較にみる日本の「医療関連死」調査第三者機関の要件と保健所届出について,日本医事新報 4201:53-58,2004
3)武市尚子,吉田謙一,稲葉一人:司法解剖における遺族への情報開示の問題点,法学セミナー 595:76-80,2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?