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連載 病院管理フォーラム ■医事法・3
医療行為と制裁(2)
著者: 植木哲1
所属機関: 1千葉大学法経学部法学科
ページ範囲:P.608 - P.610
文献購入ページに移動前回に続き,都立広尾病院事件について考えていきます.本件では,病院管理者(衛生局病院事業部副参事)の処罰も問題となっています.医師法21条は「医師は,死体を検案して異状があると認めた時は,24時間以内に所轄警察署に届け出なければならない」と規定しており,これに違反して処罰を受けるのは医師となります.
これは身分犯(真正身分犯)と言われ,行為の主体に一定の身分(医師)の存在が必要とされる犯罪類型です.このため医師でない病院管理者が,直接医師法違反に問われることはありません.病院管理者が警察への届出を待つように指示したことが医師の身分犯への共謀に当たるかどうかが問題となります.
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