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連載 アーキテクチャー 保健・医療・福祉 第151回
医療法人青流会くじらホスピタル
著者: 木村敏夫1 鳥山亜紀1
所属機関: 1清水建設株式会社設計本部
ページ範囲:P.704 - P.709
文献購入ページに移動愛媛県で長年精神医療に取り組んできた医療法人が,心療内科専門の病院を新たに東京で開設したのが「くじらホスピタル」である.愛媛県の「くじらグループ」では,患者の病態や家庭環境に応じて,適切な治療と生活の場,仕事の場を提供し,患者がより良く生きるために力を尽くしてきた.一方,横浜市にある「めだかメンタルクリニック」では,ストレス社会の中で適応障害やうつ状態をきたした方,家庭内の暴力や虐待で苦しんでいる方等に対し,外来診察とデイケアによる治療プログラムを実践してきた.そうした実績をもつ法人が,従来の統合失調症を主体とした精神科の医療機関では適応しにくい患者に対し,適切な入院環境の整備が急務であると切実に感じ,この病院を開設する計画を立ち上げることとなったのである.
計画は,都心からのアクセスが良いところに,心療内科の病院にふさわしい敷地を捜すことから始まった.1年余の土地捜しの後,ようやく京葉線潮見駅近くの運河に面した静かなところに決まった.日の光を受けて水がキラキラ光りながら流れる運河が魅力的なところである.心を癒す空間づくりには,この水の流れがかけがえのないものと感じた.
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