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文献詳細

雑誌文献

病院67巻11号

2008年11月発行

文献概要

特集 「環境の時代」と病院

病院における環境マネジメントの評価手段としての環境会計

著者: 河野正男1

所属機関: 1中央大学経済学部

ページ範囲:P.971 - P.973

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環境に関する国際規格の制定・公表

 1990年代に入り,地球温暖化,オゾン層の破壊,酸性雨,海洋汚染,熱帯林の減少,砂漠化,野生生物種の減少等,多様な環境問題への関心が高まり,先進国では,企業,政府機関,非営利団体および家計等,あらゆる組織に環境問題への対応が求められた.同時に,様々な組織における多様な環境問題への対応水準を維持する必要から,先進各国では,環境問題への対応に関する規格(standard)作りが行われ,規格に合致しない製品やサービスに関する規制が強化された.国別に定められた規格を企業がクリヤーすることは容易ではなく,世界の自由な貿易を阻害すると考えられ,環境に関する世界共通の規格すなわち国際規格の制定が求められた.そこで,主として工業製品に関する国際規格作りに携わる国際標準化機構(ISO)に白羽の矢が立てられた.ISOでは1996年以降,ISO14000シリーズと呼ばれる環境に関する国際規格を次々と制定,公表してきた.

 環境に関する国際規格は2つのグループに大別される.1つはシステムに関連するものであり,他の一つは製品・サービスに関するものである.前者には,企業の多様な環境保全活動を組織的に管理するためのシステムに関する環境マネジメントシステム規格,このシステムの監査に関わる環境監査規格,そしてシステムの運用結果すなわち環境パフォーマンスの評価に関する環境パフォーマンス評価規格がある.後者には,製品・サービスの生産から廃棄までの全プロセスでの環境負荷物質の排出量の調査・分析に関わるライフサイクル・アセスメント規格と製品・サービスの環境負荷情報の表示に関する環境ラベル規格がある.これらの規格は全て14000台の番号が付されていることから,環境に関する国際規格をISO14000シリーズという.

参考文献

1)http://ecology.or.jp/isoworld/iso14000/registr4.htm
2)ISO14001の認証取得件数はある時期から公表されなくなったので,直近の公表数を利用した.資料収集時のアドレス;http://www.jsa.or.jp/iso/graph/graph2.pdf
3)環境庁『環境保全コストの把握及び公表に関するガイドライン(中間とりまとめ)』1999年3月
4)環境庁『環境会計システムの確立に向けて(2000年報告)』2000年3月
5)環境省『環境会計ガイドライン改訂検討会報告書』2002年3月
6)環境省『環境会計ガイドライン2005年版』2005年2月
7)事業活動に応じた分類以外に環境保全対策分野に応じた分類も取り上げている(2005年版,p. 19参照)
8)新日本監査法人『収益力がグンと高まる病院の原価計算』ぱる出版,2005年9月

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

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