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文献詳細

雑誌文献

病院67巻11号

2008年11月発行

文献概要

特集 「環境の時代」と病院

植物の療法的効果を取り入れた病院緑化―予防医学時代における緑の役割

著者: 岩崎寛1

所属機関: 1千葉大学大学院園芸学研究科

ページ範囲:P.979 - P.983

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 超高齢化社会の現在,今後,より多くの人々が病院との関わりを持つと考えられる.病院という空間は,患者に限らず,職員や医師,看護師なども含めて,その利用者にとって不安や緊張を抱えた特殊な空間であるといえる.一方,近年,森林療法や園芸療法など緑の療法的効果が注目され,それらを取り入れた緑化に大きな期待が寄せられている1).病院においても例外ではなく,積極的に緑を取り入れようと考える病院も徐々に増えている2).しかし,病院はオフィスや学校,都市公園などの緑化とは異なり,利用者や目的などが他の空間と異なることから,「病院らしい緑化」,「病院ならではの緑化」が必要である3).そのような中,厚生労働省が管轄している国立病院機構では,病院内に積極的に緑を取り入れる「ガーデンホスピタル構想」を打ち出したが,十分に浸透しているとは言い難い状況である.また,これまでの病院は治療の場という側面だけが注目されていたが,現在問題となっているメタボリックシンドロームなど生活習慣病の予防という観点から,健康を維持するための機関としても,その機能が期待されている.

 このような背景から,本稿では,病院緑化の現状と問題点を検証し,今後の病院のあり方を「緑化」という視点から切り取り,予防医学時代の緑の役割について検討する.

参考文献

1)岩崎 寛:緑地福祉学の構想と実践.広井良典(編):「環境と福祉」の統合,有斐閣,2008,pp. 103-122
2)岩崎 寛,山本 聡,他:病院における緑化の現状と問題点―兵庫県における事例―,日本緑化工学会誌 30(1):352-355,2003
3)岩崎 寛:病院における緑の必要性.景観園芸入門編集委員会(編):「景観園芸入門」,ビオシティ,2005,pp. 140-149
4)岩崎 寛:緑の癒し効果.森本幸裕・小林達明(編):最新緑化工学,朝倉書店,2007,pp. 65-75
5)浦添綾子,仙田満,辻吉隆,矢田努:遊び環境よりみた小児専門病棟の建築計画に関する基礎的研究.日本建築学会計画系論文集 535,99-105,2000
6)木本久美子,柳井重人,他:東京都区部における病院の緑化実態について.環境情報科学論文集 17:29-34,2003
7)岩崎 寛:生理的・心理的効果を取り入れたランドスケープデザイン,医療福祉建築 159 : 2-3, 2008
8)Roger S Ulrich : View through a window may influence recovery from surgery. SCIENCE 224 : 420-421. 1983
9)岩崎 寛・山本 聡,他:都市公園内の芝生地およびラベンダー畑が保有する生理・心理的効果に関する研究.日本緑化工学会誌 33(1):116-121,2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

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