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文献詳細

雑誌文献

病院67巻12号

2008年12月発行

文献概要

連載 続クロストーク医療裁判・12

未破裂脳動脈瘤の手術と説明義務―コイル塞栓術に関する説明義務違反事件―最高裁平成18年10月27日の判決から

著者: 小野寺健太1 千葉華月2 小林英一3

所属機関: 1前・さいたま地方裁判所 2北海学園大学法学部 3千葉大学医学部医学研究院脳神経外科

ページ範囲:P.1082 - P.1087

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 本連載は65巻3号~66巻2号に掲載した好評連載の続編である.裁判実務・法律・医療分野に携わる三者が,最高裁判決を事例に論点を解説し,多角的な見方を提供する.

 近年の医療訴訟においては,診療上の過失のみならず,診療に際しての医師の説明のあり方が問題とされる事案が増加しており,医療訴訟で問題とされる「説明義務」の内容について検討しておくことが一層重要になってきていると言える.今回は,未破裂脳動脈瘤の手術に際し,医師がどのような説明をすべきかが問題となった事案である.

参考文献

1)前回連載6回 萩原孝基,他:医療水準と説明義務の範囲―乳房温存療法.最高裁平成13年11月27日判決の事例から.病院65(8),2006(本判決は判例時報1769号,p. 56参照)
2)「脳動脈瘤の手術適応に格差」Nikkei Medical,2007年2月号,p. 26
3)日本脳ドック学会・未破裂脳動脈瘤に対するガイドライン(1997年)
4)毎日新聞2007年10月19日朝刊
1)中村哲:医師の説明義務とその範囲.太田幸夫(編):新・裁判実務大系1・医療過誤訴訟法,青林書院,2000
2)本件といわゆる乳房温存術事件とは,患者に複数の選択肢がある点では類似している.しかし,本件は,①未破裂脳動脈瘤の予防のための療法実施の事案であり,患者に保存的経過観察という選択肢がある点,②開頭手術とコイル塞栓術が新規治療法ではなく,医療水準として確立されたものである点で乳房温存術事件とは異なる.
1)手嶋豊:予防的な療法(術式)実施に当たっての医師の説明義務.ジュリスト臨増1332号,p. 81,2007
2)平沼高明:未破裂脳動脈りゅうの存在が確認された患者がコイルそく栓術を受けたところ術中にコイルがりゅう外に逸脱するなどして脳こうそくが生じ死亡した場合において担当医師に説明義務違反がないとした原審の判断に違法があるとされた事例.民事法情報248号,p. 68,2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

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