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連載 ヘルスケアと緑・2
人生をテーマとした庭―イギリス,ストーヘッド
著者: 浅野房世1
所属機関: 1東京農業大学農学部バイオセラピー学科園芸(植物介在)療法学研究室
ページ範囲:P.102 - P.103
文献購入ページに移動緑が人を癒す歴史は,人の始まりからに違いないと,前号で記述した.
今回は少し時代が下がり,人が自然の織り成す空間を模倣するようになったことについて語りたい.
私が前号からいう「緑」とは,樹木の緑のことでもあり,花のことでもあり,それらを総称する「自然」のことを指している.この自然という言葉は,広辞苑では「おのずから,そうなるさま.天然のまま」「nature(イギリス,フランス).人工,人為に対して,人力によって変更,形成,規整されていない」…と記述され,自然が,natureだけの意味を持つものではないことがわかる.しかし,言語学者の泉井久之助は,natureを「ものを生んで成す力」であり「本質」という意味を持つと説明した.
「ものを生み出す力」や「本質」として自然を捉え,その自然を住まいの近くに置き,日々の生成の力を創出する空間が,「庭」であるといえるだろう.
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