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連載 病院管理フォーラム ■医事法・10
医療水準と転医・転送義務
著者: 植木哲1
所属機関: 1千葉大学法経学部法学科
ページ範囲:P.170 - P.172
文献購入ページに移動前回の医療水準と説明義務との関係を整理すると,説明義務は,①承諾の前提としての説明,②療養指導方法としての説明,③転医・勧告としての説明に分類できます.今回取り上げるのは③の転医・転送義務の問題です.
未熟児網膜症事例が医療判例の中心を形成していた昭和時代には,転医・転送義務の本質はまだ十分に議論されていませんでした.なぜなら当時の最高裁は,予見不可能な治療方法についての説明義務については,消極的な態度をとっていたからです.もちろん未熟児網膜症訴訟においても,産科医や小児科医から光凝固法の実施を可能とする眼科医への転医・転送が問題となりえたのですが,判例はそこまで踏み込んだ判断を示していませんでした.
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