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文献詳細

雑誌文献

病院67巻5号

2008年05月発行

文献概要

連載 職場のメンタルヘルス・14

不信時代における医療事故とキャリア

著者: 武藤清栄1 村上章子1

所属機関: 1東京メンタルヘルス・アカデミー

ページ範囲:P.443 - P.447

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 ここに面白い調査がある.朝日新聞社が行った「信用度に関する調査」である.郵送で調査票を送り,信用について回答してもらったものだ1).これによると,最も信用されていないのが「政治家」と「官僚」で,「信用している」と答えた国民は僅か1%.いかに不信感を抱いているかがわかる.逆に最も信用しているのが「家族」で74%であった.ちなみに医師に対しては,「信用している」が16%,「ある程度信用している」が68%,「あまり信用していない」が13%,「信用していない」が2%であった.また,併せて行った信用度と「生活満足度」「心のゆとり」の関係についての回答からは,生活に満足していたり,心のゆとりがある人ほど他者への信用度が高いことがわかった.逆に言えば,不満を持っていたり,ゆとりのない人ほど,世の中や人間関係の恩恵をこうむることがなかったとして,疑心暗鬼になってしまう.

 今日の病院の医師や看護師の不足や偏在,過重労働,医療事故,サービスへの不満,クレーム,人間関係のトラブルといった状況の中で,患者や家族だけではなく世間の医療に対する不信感も増大してきたように思う.またそうした状況の中で,逆に医師や看護師のストレスも高まっている.厚生労働省の調査では,働く人たちの約6割が職業生活についてイライラや強い不安,抑うつ感などストレスを感じているという報告がある.その結果,離職したり,仕事の適性について悩んだりする人も多い.しかし医療の現場で最も深刻な事態は,ミスやエラーをした時である.場合によっては,その出来事が医師や看護師のその後の人生にひどく影響を与えることがある.

参考文献

1)「不信時代 支えは家族」,朝日新聞,2008年3月21日

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

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