icon fsr

文献詳細

雑誌文献

病院67巻6号

2008年06月発行

文献概要

特集 人材不足をどう打開するか

高齢社会における労働力と労働市場の変化

著者: 佐野哲1

所属機関: 1法政大学経営学部

ページ範囲:P.486 - P.489

文献購入ページに移動
高齢労働力の特徴と変化

1.多様な集団の多様な変化と非労働力化

 わが国では,少子高齢社会への急速な移行に伴って,団塊世代の定年到達への憂慮など「200X年問題」に代表されるように,労働力不足が大きな社会問題となっている.しかしながら,その「200X年」を境として高齢労働力が一気に消失してしまうなど,事態が急転するわけでは決してない.

 近い将来に人口全体の約30%まで達する高齢者(65歳以上人口)の就業グループは,多様性を内包しながら徐々に変化していくと捉えるのが正しい見方である.多様性は,高齢者個々人の生き方の中に混在している.ある高齢者は,働く気力も充実し,保有する技術や知識の市場価値を維持しつつ,次世代より勝る肉体年齢でいきいきと働き続ける.一方ある高齢者は,就業意志があり健康であるものの,自らが保有する経験の労働市場価値が希望に適わず,働かずに非労働力人口となっていく.また,ある高齢者は,体力の衰えと病気の進行を不安に思い,労働力としての自らの市場価値に不満を抱きながらも,ただただ生活維持のために働く気力を振り絞っている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら