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文献詳細

雑誌文献

病院67巻7号

2008年07月発行

文献概要

特集 どうなる 特定健診・特定保健指導

特定健診・特定保健指導の医療費に及ぼす影響

著者: 大櫛陽一1

所属機関: 1東海大学医学部基礎医学系医学教育・情報学

ページ範囲:P.593 - P.596

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 特定健診・特定保健指導が従来の老人基本健診および労働安全衛生法に基づく職場健診と大きく異なるストラテジーは,次の2点である.1)医療費の削減を目的として,実施主体が保険者になった.2)健診の目的が「疾病の早期発見」(二次予防)から,「生活習慣の問題の発見」(一次予防)とされている.

 この2点についての根拠となるデータは,三重県政府管掌健康保険(政管健保)の被保険者2,834人の健診結果と10年後のレセプトデータとの比較である1).この結果を全国5,700万人に拡大解釈して年間医療費が2兆円削減できるとした.しかし,一地域の余りにも少ない対象者の結果を約2万倍に水増しした結果は正しいものであろうか?また,カルテ調査ではなく,レセプトデータに基づいて医療費を推計しているが,レセプトに書かれた病名は医学的に正しいものであろうか?

参考文献

1)医療経済研究・社会保険福祉協会,政府管掌健康保険における医療費等に関する調査研究,2005
2)読売新聞2007年8月25日朝刊
3)大櫛陽一:日本人の血清コレステロール基準を探る.性差と医療 2(10):1221-1229,2005
4)厚生省:老人保健法による健康診査マニュアル,日本公衆衛生協会,1987
5)厚生労働省:平成17年度国民健康・栄養調査報告,2007
6)Port S, et al : Systolic blood pressure and mortality. The Lancet 355(9199) : 175-180, 2000
7)Jain RK : Taming vessels to treat cancer. Sci Am 298(1) : 40-47, 2008
8)大櫛陽一:メタボの罠,角川SSC新書,2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

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