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連載 続クロストーク医療裁判・7
術後における緊急手術の決断時期―冠状動脈バイパス手術後腸管壊死死亡事件―最高裁平成18年4月18日判決の事例から
著者: 井出正弘1 千葉華月2 島田英昭3 落合武徳4
所属機関: 1東京地方裁判所 2北海学園大学法学部 3千葉県がんセンター消化器外科 4三愛記念そが病院消化器病センター
ページ範囲:P.636 - P.641
文献購入ページに移動5~7回は「術後管理と医師の過失」のテーマを取り上げている.7回目では,冠状動脈バイパス手術後に急性腹症(腸管壊死)を発症した患者について,緊急開腹手術を決断した時期に遅れがあったか否かが問題とされた事案を紹介する.
5回および6回でも見てきたように,術後管理を担当する医師には,時々刻々と体調の変動がある中で,多種多様な処置を求められるのであり,とりわけ,本件のように,緊急手術を必要とする合併症が疑われるものの,その確定診断ができないような場面においては,医師が取るべき対応を,事前に,一律に措定することは容易ではない.このような究極の選択を迫られるともいえる事例を通じ,最高裁判所が医師の過失をどのように判断したかについて検討する.
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