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特集 補完代替医療のこれから
統合医療と看護
著者: 川島みどり1
所属機関: 1日本赤十字看護大学 看護学部
ページ範囲:P.924 - P.927
文献購入ページに移動 目覚ましい医学・医療の進歩とその高度化は誰しも認めるところであるが,とりわけ,医師の最も身近な存在であり続けてきた看護師は,延命や救命に多大の貢献を図る過程で医師とともに働き,それ自体が自らの生き甲斐の動機になってきた場合も少なくない.同時に,進歩自体が生んだ種々の問題や,それにより,新たにつくられた状態に直面する患者や家族の苦痛や悩みに直接触れる立場にもいる.
例えば,手術は終えたが再発の恐怖におびえている患者,生命はとりとめたものの意識が回復せず,遷延化した患者のそばで戸惑いを隠せぬ家族たち,基本的な療養生活を会得できないのに早々と退院を迫られる患者や家族の姿などがそれである.こうした患者や家族の悩みに対して,現在の急性期中心の大病院では,必ずしも適切な対応ができているとは言えない.それ以前に,そうした思いにすら気づかない状況があることもしばしば見聞きする.そこで,これからの医療のありよう,とりわけ看護の進むべき方向を,統合医療の概念とそのビジョンに重ねて考えてみようと思う.
例えば,手術は終えたが再発の恐怖におびえている患者,生命はとりとめたものの意識が回復せず,遷延化した患者のそばで戸惑いを隠せぬ家族たち,基本的な療養生活を会得できないのに早々と退院を迫られる患者や家族の姿などがそれである.こうした患者や家族の悩みに対して,現在の急性期中心の大病院では,必ずしも適切な対応ができているとは言えない.それ以前に,そうした思いにすら気づかない状況があることもしばしば見聞きする.そこで,これからの医療のありよう,とりわけ看護の進むべき方向を,統合医療の概念とそのビジョンに重ねて考えてみようと思う.
参考文献
1)ヘンダーソンV(著),湯槇ます,小玉香津子(訳):看護の基本となるもの,p26,日本看護協会出版会,1960
2)ナイチンゲールF(著),湯槇ます,他(訳):看護覚え書,序章,p2,現代社,1983
3)アルファーノG(著),尾田葉子(訳):看護婦は世話をするだけでよいのか,それとも癒すのか.「看護とリハビリテーションのためのローブセンター その看護事業とは」,p59,看護の科学社,1984
4)2)のp150
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