DPC時代の医療経営管理塾・8
調整係数の決め方―既に実施病院になっている場合
著者:
高橋泰
ページ範囲:P.160 - P.161
A病院は,平成16年に準備病院に応募し,平成18年にDPC実施病院になった.診断群1の患者のみを診療する専門病院であり,毎月200人の患者がコンスタントに入院する.全ての患者に同一の診療内容を提供し,全ての患者は5日間入院,DPCの包括部分(入院基本料,検査,画像診断,投薬,注射など)は,DPCの調査期間中の出来高払い換算で毎日1.8万円(1,800点)発生すると仮定する.
平成18年度の診断群1の診療報酬点数表は表1のとおりであり,新規にDPC実行病院になった病院の調整係数は式1により計算される.
〈問1〉A病院の平成18年の調整係数を計算せよ(小数点第4位まで).
A病院はDPC実施病院になった後も,診断群1の患者のみが毎月200人の患者がコンスタントに入院し,以前と変わらず全員5日間で退院した.一方で,以前は入院中に行っていた検査を外来で行い,ジェネリック医薬品を導入するなどして,実施病院になる以前の出来高払い換算で毎日1.8万円(1,800点)であったDPCの包括部分(入院基本料,検査,画像診断,投薬,注射など)の医療内容を,1.65万円(1,650点)相当までスリム化した.
〈問2〉A病院が,以前と同様の出来高払い換算で毎日1.8万円(1,800点)相当の医療を行い,出来高で支払いを受ける場合と比較し,DPC実施病院になり医療のスリム化を行ったA病院は,1か月当たりどの程度の増収,または減収が見込まれるか.
全国DPC実施病院は,平均在院日数の短縮や医療内容のスリム化を進めた.その結果,平成20年度の診断群1の診療報酬点数表は表2に示すものになった.また,平成20年度の調整係数は,平成18年度の診断群分類に基づいた支払額から平成20年度の診療報酬全体の改定率0.82%を引いた収入額を保証するという基本方針に従い,式2により平成20年度の各病院の調整係数は計算された.
〈問3〉A病院の平成20年度の調整係数を求めよ(小数点第4位まで).