特集 医療統計の再構築に向けて
【事例】電子カルテの経営への利用
病院経営と電子カルテシステム
著者:
吉田博1
中島暢昭2
所属機関:
1公立八女総合病院企業団
2公立八女総合病院企画課
ページ範囲:P.129 - P.131
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病院の基幹システムたる電子カルテシステムおよび周辺部門システムを一括導入すると現在でも数億円規模の投資となり,この金額は病院経営に非常に大きなインパクトを与える.大きなインパクトのある投資である以上,なぜ電子カルテシステムの導入が必要なのかということを病院経営のトップマネジメントがどのように捉えているが重要である.オーダリングシステムと違い面倒な転記作業を廃止できる,クリニカルパスなどにも対応した高度なオーダリング機能を備えている,あるいはシステム導入で得られる二次的な統計データや帳票類など利用が容易になる,などの表面上の効果に目が向きがちであるが,その投資額が高額であるがゆえに電子カルテシステムの導入に関する基本的戦略・達成目標の設定を見誤れば,病院経営を左右する事態を招きかねない.
当院(19診療科,330床)では2003年12月にノンカスタマイズ型電子カルテシステムの新規導入および周辺部門システムの新規導入・更新を行った.その経緯も含め,当院におけるIT投資に関する基本的なスタンスを記述したい.