文献詳細
研究と報告【投稿】
文献概要
要旨 医師の確保が喫緊の問題となっている現在,女性医師の就労継続支援は医師全体にかかわる重要な課題である.国は女性医師就労支援の大きな柱として院内保育所を挙げているが,医師の利用や効果については必ずしも明らかでない.本調査は,全国の病院の院内保育所の運営実態や医師のための就労支援の現状を把握し,院内保育所設置の効果と就労支援のあり方について考察した.院内保育所は医師の利用制限や運営費を含めた多くの課題を抱えているものの,設置には一定の効果が認められた.また,女性の常勤医師,非常勤医師との間には,効果的な支援プログラムに違いが見られた.時間短縮勤務などの支援プログラムは必ずしも普及しておらず,今後,医師のニーズに即した支援策への柔軟な対応が求められる.ただし,全てを医療機関の対応で行うには限界があり,経済的支援を含めた行政側の積極的な支援が望まれる.
参考文献
1)原田佳明,峠田和史,他:勤務医の労働環境実態と医療安全.日本医療・病院管理学会誌45(3) : 215-223, 2008
2)中川国利,塩﨑均,他:消化器外科医の労働環境について-アンケート解析.日本消化器外科学会雑誌40(12) : 1-8,2007
3)大木いずみ,尾島俊之,他:女性医師の育児との両立に必要な支援に関する研究.医学教育34(5) : 343-348, 2003
4)厚生労働省:医政第1031012号「医師に対する出産・育児等と診療との両立の支援について」
5)日本産科婦人科学会,日医総研:日医総研ワーキングペーパーNo.143「女性医師を中心とした産婦人科医の就労状況についての調査報告」,p6,日医総研,2007
掲載誌情報