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文献詳細

雑誌文献

病院68巻3号

2009年03月発行

文献概要

連載 続クロストーク医療裁判・14

チーム医療における医師の刑事責任―最高裁平成17年11月15日決定の事例から

著者: 小津亮太1 奥津康祐2 花澤豊行3 岡本美孝3

所属機関: 1札幌地方・家庭裁判所室蘭支部 2東京大学大学院医学研究科法医学教室博士課程 3千葉大学大学院医学研究院耳鼻咽喉科・頭頸部腫瘍学

ページ範囲:P.241 - P.247

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 本連載は65巻3号~66巻2月号に掲載した好評連載の続編である.裁判実務・法律・医療分野に携わる三者が,最高裁判決を事例に論点を解説し,多角的な見方を提供する.

 第14回は刑事事件の判例を取り上げる.大学附属病院の耳鼻咽喉科で,指導医-主治医-研修医から成るチーム内で治療方針を立案し医局会議にかけ,科長が最終的に治療方針を決定する体制であった.主治医が抗がん剤の投与計画の立案を誤り,週1回投与すべき抗がん剤を連日投与するとともに,その副作用に適切に対応することなく患者を死亡させた事案である.科長は,主治医から治療方法の報告を受け了承していたが,具体的な薬剤の投与計画内容までは検討していなかった.主治医の過失自体は争いようがない事案であるが,チーム医療の責任者がどのような義務を負い,刑事責任を問われるのかという点が議論となった.

参考文献

1)判例タイムズ1197号,p.129,2006
2)林幹人:法曹時報58巻12号,p.4,2006
3)飯田英男:刑事医療過誤II[増補版],pp.99-100,有斐閣,2006
4)奥津康祐:判決文から読み解く医療過誤,p.90,ブイツーソリューション,2005
5)チーム医療において信頼の原則の適用が明示的に否定された最近の裁判例として最判平成19年3月26日(横浜患者取り違え事故)がある.
6)院長が責任を問われた事例として,ヘパリン生理食塩水の作り置きによるセラチア菌感染事故(東京簡略平成16年4月16日)もあるが,作り置きがなされていた状況に対する院長の関与・認識が明確でないため,ここでは取り上げない.
7)上記3),pp.502-542
8)奥津康祐:ナースのための看護過誤判例集,pp.40-46,ブイツーソリューション,2008

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

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