文献詳細
文献概要
連載 リレーエッセイ 医療の現場から
クライアントという鏡
著者: 広野優子1
所属機関: 1ER・テレフォン・クリニック
ページ範囲:P.275 - P.275
文献購入ページに移動医療者は,ともすれば一般人の問題を専門家が解決するのが電話相談だと考えますが,これは診療現場というゴルフ場で医療者というゴルファーが一般人というボールを,いかに巧みにホールアウト(治癒)させるかが医療の日常だからでしょう.しかし,医療も生活の一部ですから,医療者の足場はむしろ生活現場にあるはずです.電話相談とは,この生活現場というゴルフ場でゴルファーである一般人が人生というボールをいかにうまく打てるかサポートするキャディなのです.ボールをうまく打てるかどうかは基本的にゴルファーの腕にかかっていますが,石川遼君じゃなくてもゴルフを楽しめるのは,様々なアクシデントを一緒に乗り越えてくれるキャディという存在があってこそ.優れたキャディがゴルファーの技術や癖を熟知し,最後までその腕を信じているように,一般人の生活感覚や価値観を把握したうえで彼らが最善の結果をつかむのを静かに見守っている,それが電話相談でもあります.
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