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文献詳細

雑誌文献

病院68巻4号

2009年04月発行

文献概要

連載 続クロストーク医療裁判・15【最終回】

突然の証拠保全に驚かないために―カルテの証拠保全

著者: 宮川広臣1 畑中綾子2 長谷川剛3

所属機関: 1東京地方裁判所 2東京大学公共政策大学院 3自治医科大学附属病院医療安全対策部

ページ範囲:P.336 - P.340

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 本連載は65巻3号~66巻2月号に掲載した好評連載の続編である.裁判実務・法律・医療分野に携わる三者が,最高裁判決を事例に論点を解説し,多角的な見方を提供してきた.最終回では,民事裁判にあたり医療機関側が最初に裁判所と接触する局面とも言える「証拠保全」手続について取り上げる.

 医療機関側には,実施の1時間程度前にしか知らされず,突然,裁判所と患者側の弁護士が医療機関を訪れ,医療関係記録の捜索的な行為に及ぶことから,証拠保全手続の実施自体に対して反発もあるだろう.しかし,証拠保全が実施されたからといって,裁判所が医療機関側の責任を認めたことにはならない.むしろ,医療関係記録の存在と内容が患者側に明らかになることにより,患者側の誤解や不審が解消され,その結果裁判が起こされずに解決することもあるし,医療裁判となった場合にも,証拠保全によって客観的な内容が確認・保全されている資料に基づく議論が可能となることから,決して医療機関側に不利なことではない.証拠保全の実施に当たっては,手続を主催する裁判所から,そうした証拠保全手続の意義や効果が説明され,医療機関側の協力の下に円滑に実施されるようなことも多くなってきたと指摘されている.今回,証拠保全の意義や具体的な実施手順について論じたい.

参考文献

1)畔柳達雄:医療事故報告書の開示(畔柳達雄,他 編:医療の法律相談,有斐閣,2008),pp250-256
2)我妻学:医療事故経過報告書の提出義務(宇都木伸,他 編:医事法判例百選,別冊ジュリスト,有斐閣,2006),pp42-43
3)畑中綾子:医療事故・インシデント情報の取扱いに関する論点.ジュリスト1307号,pp28-37,有斐閣,2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

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