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連載 図説 日本の社会保障 医療・年金・生活保護・4
医療保険の歴史と現況
著者: 泉孝英12
所属機関: 1京都大学 2(財)京都健康管理研究会
ページ範囲:P.342 - P.343
文献購入ページに移動わが国の医療保険(健康保険)の歴史・変遷の概略を示した(表1).
●戦前
わが国における医療保険は,鐘紡,八幡製鉄所共済組合設立(1905/明38年)に示されているように,職域における相互扶助「共済制度」を目的として出発したことである.
広く国民を対象とした健康保険,国民健康保険は1927(昭2)年,1938(昭13)年に発足したが,任意保険のため大きな普及は見られず,この状態は戦後も続いた.この時期,1931(昭6)年の満州事変以来,支那事変,太平洋戦争,そして日本の敗戦(1945/昭20年)まで続いた15年戦争による膨大な戦費調達のため,医療に配分される公的財源(税金)はほぼ皆無であったことも明記されねばならないことである.
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