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文献詳細

雑誌文献

病院68巻7号

2009年07月発行

文献概要

連載 広がる院内助産所・助産師外来・2

湘南鎌倉総合病院産婦人科での助産師外来と院内助産―これまでの道とこれからの道

著者: 井上裕美12

所属機関: 1湘南鎌倉総合病院 2湘南鎌倉総合病院 産婦人科

ページ範囲:P.570 - P.575

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 「医療崩壊」や「産科医療の危機」など,ここ数年間,産科医療の現場は混乱を来している.産科医療でのクレームや訴訟問題に端を発したかのように見えた産科医不足,そしてそれによって生じた産科施設の閉鎖,さらに産科救急を受け入れられない状況は「救急患者のたらい回し」といった報道へとエスカレートしていった.そしてこの問題は産科医の産科手当を含む診療報酬の引き上げとなり,病院内での診療報酬の格差を生み出しながら,国を挙げて,各施設は躍起になって産科医を増やそうとしている.

 しかし,もっと冷静に振り返ってほしい.「産科医療でのクレームや訴訟問題に端を発したかのように見えた」と言ったが,本当はその前に,この問題を起こす原因があったのではないだろうか.「お産」の本質を理解せず,病根を治さず対症療法を行うのでは,とても日本の産科医療を救えるとは思えない.もちろん産科医がいないから,そしてお産施設が減少したから助産師がその代わりを行うといった発想も,はなはだ疑問である.そして今回のテーマである「助産師外来や院内助産」の病院でのあり方を探りながら,この混乱した産科医療を検討したいと思う.

参考文献

1)井上裕美:牛の周産期異常の実態-ヒトにおける分娩看護の実際と周産期異常を参照して.家畜診療 54(528):325-333,全国農業共済協会,2007
2)ペトロス(著),井上裕美,他(訳):インテグラル理論から考える女性の骨盤底疾患,シュプリンガー・ジャパン,2006
3)河合蘭:日本における出生場所別出生数と妊産婦死亡率の推移.助産師と産む,岩波ブックレット 704,2007
4)井上裕美:院内助産院で安全と快適性は得られるのか?-医師の立場から.助産雑誌 60(4):312-317,医学書院,2006
5)井上裕美:女性中心の産科医療を実現するための障壁になる事,乗り越えるポイント.母性衛生 49(1):16-22,2008
6)町田洋次:社会起業家―「よい社会」をつくる人たち,PHP新書 134,2000
7)レスターM.サラモン,他(著),今田忠(監訳):台頭する非営利セクター,ダイヤモンド社,1996
8)レスターM.サラモン,他(著),入山映(訳):米国の非営利セクター入門,ダイヤモンド社,1994
9)ドラッカーPF(著),上田惇生,田代正美(訳):非営利組織の経営,ダイヤモンド社,1991
10)真野俊樹:入門医療経済学,中央公論社,2006
11)平川克美:経済成長という病:退化に生きる我ら,講談社現代新書,1992
12)マースデン・ワーグナー(著),井上裕美,河合蘭監(訳):WHO勧告にみる,望ましい周産期ケアとその根拠,メディカ出版,2002

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

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