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文献詳細

雑誌文献

病院68巻8号

2009年08月発行

文献概要

特集 医療・介護ニューディール

病院職員数と病院機能の国際比較

著者: 長谷川敏彦1

所属機関: 1日本医科大学 医療管理学教室

ページ範囲:P.635 - P.640

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 病院職員構造の国際比較は,実は比較の前に慎重に検討すべき課題が存在する.データの標準化と精度の問題である.すなわち,①各国の医療システムが異なっているため,それを構成する医療施設や職種の期待される役割や機能も国によって異なっている.②したがって職種の定義も異なり,特にデータの主体が異なるとその定義や収集過程にばらつきがある.③統計データの収集システムの完成度によってデータの正確度にばらつきがある.

 現存の国際的情報源としては「各国の統計(政府やその他の団体)」,「WHO(世界保健機関)」そして「OECD(経済開発協力機構)」が主なものである.WHOデータは,対象国は多いが発展途上国中心でデータ精度に問題があり,情報の種類も限られている.特に病院職員のデータはほとんど存在しない.OECDデータは先進国を対象にし,情報源となる各国の政府機関の情報収集システムの完成度が高く,精度も高い.またかつての担当者(ジャン・ポール・プーリエ氏)など個人の努力があり,定義の調整が一定になされており,これまで汎用されてきた.「各国データ」では各種の多数の変数が存在するという利点がある一方,定義が国ごとに異なる可能性がある.

 本論文では,医療システムやパフォーマンスなど各国の違いを浮き上がらせ,主としてOECDデータを用い,詳細には各国政府のデータを慎重に検討し,比較を試みた.

参考文献

1)長谷川敏彦:病院の設立主体・所有形態の現状と比較―日本と欧米諸国.病院 62(10):843-850,2003
2)長谷川敏彦:医療の質測定方法と病院医療の質改善.病院 65(7):535-539,2006
3)長谷川敏彦:世界の医療制度改革-健康変革の国際的潮流.保健医療科学 55(4):308-315,2007
4)長谷川敏彦:医師需給の現状と展望.病院 66(4):308-313,2007
5)長谷川敏彦:病院はどう生き残るか,おわりに―戦略的経営の必要性.医学のあゆみ 222(6,7):481-484,2007
6)長谷川敏彦:日本医療の経済を見る.綜合臨牀 56(12):3168-3175,2007
7)長谷川敏彦:医療崩壊と日本福祉システムの起源.月刊基金 49(3):16-26,2008
8)長谷川敏彦:「医療崩壊」と「医療再生」.月刊保険診療 63(11):65-70,2008

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

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