病院68巻8号

2009年08月発行

特集 医療・介護ニューディール

介護マンパワーの国際比較

著者： 小山秀夫¹

所属機関： ¹静岡県立大学経営情報学部

ページ範囲：P.641 - P.645

■介護職員の量的不足

　高齢者の医療・ケア政策については，国際的に大きな変革が求められている一方で，認知症高齢者の増加等の要因から，社会的な介護を求める声が年々大きくなり，介護労働力の確保が大きな課題となりつつある．

　社会保障のあるべき姿について，国民にわかりやすく議論を行うことを目的として閣議決定により設置された「社会保障国民会議」は，2008年10月23日に「医療・介護費用のシミュレーション結果」を公表した．この中で，2007年の介護職員を117.2万人とし2025年の各種推計必要人数を示している．結果は，最低211.7万人～最高255.2万人であり，看護職員の169.6万人～206.4万人より多くなることを示している．

参考文献

1）Service Employees International Union : Caring Till It Hurts : How Nursing Homes are Becoming the Most Dangerous Industry in America, 1995

2）General Accounting Office : Nursing Workforce : Recruitment and Retention of Nurses and Nurse Aids is a Growing Concern, 2001

3）OECD : The Future of Female-Dominated Occupation, 1998／内海彰子（訳）：女性優位職業の将来：OECD加盟国の現状，カネカリサーチアソシエイツ，2002

4）笹谷春美：ケアワークのジェンダー・パースペクティブ．女性労働研究 39：59-67，2001

5）三富紀敬：欧米のケアワーカー，ミネルヴァ書房，2005

6）社団法人社会福祉振興会・試験センター：「介護福祉士養成高度化に関する研究の報告書－デンマーク・ドイツ連邦における高齢者介護専門職員養成に関する調査研究」，2009年3月

7）小山秀夫，他：厚生労働科学研究費補助金長寿科学総合研究事業「介護老人保健施設及び介護療養型医療施設における経営実態及びマネジメント実施状況に関する研究」総括研究報告書，2005

1）Sirpa Wrede（Editor）, et al : Care Work in Crisis : Reclaiming the Nordic Ethos of Care, Studentlitteratur, 2008

2）松本勝明：平成19年度厚生労働科学研究費補助金政策科学総合研究事業報告書「介護者の確保育成策に関する国際比較研究」，2008年3月

3）OECD : Long-term Care for Older People, 2005／浅野信久（訳）：高齢者介護，新社会システム総合研究所，2006

4）財団法人家計経済研究所：特集 介護労働．季刊 家計経済研究 82，2009