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瀧本 禎之,他(編)『ケースブック患者相談』 フリーアクセス
著者: 千原和夫12
所属機関: 1兵庫県立加古川医療センター 2神戸大学
ページ範囲:P.777 - P.777
文献購入ページに移動これらの事件が国民の医療に関する不信感と不安感を増長させる契機になったことは否めない事実であるが,さらにエスカレートされた国民感情が,正当な標準的医療を施行したにも拘わらず不幸な転帰をとった患者の家族が「医療ミスか医療事故があったのではないか」とすぐ訴訟に持ち込むような風潮に拍車をかけている現実をもたらし,医療者の疲弊の一因になっているのは嘆かわしいことである.一方,これらの事件を受けて,わが国の医療安全対策の基盤整備は急速に進み,2002年に厚生労働省医療安全対策検討会議は「医療安全総合推進対策~医療事故を未然に防止するために」とする報告書を取りまとめた.この報告書の中に「患者の苦情や相談等に対応するための体制の整備」という項目が掲げられ,特定機能病院および臨床研修指定病院に患者相談窓口の設置を義務づけるとともに,その他の医療機関にも相談窓口の設置を指導することが謳われた.
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