icon fsr

文献詳細

雑誌文献

病院69巻2号

2010年02月発行

文献概要

特集 病院管理会計とBSCの効用

【事例】診療科単位(外科)でのBSC導入の意義

著者: 田中信孝12

所属機関: 1総合病院 国保旭中央病院 2総合病院 国保旭中央病院 外科

ページ範囲:P.119 - P.122

文献購入ページに移動
 医療は,医師,看護師,検査技師,薬剤師,臨床工学技士,療法士,栄養士,ソーシャルワーカー,事務職など多くの職能集団による協働行為で成立し,その果実が診療機能,医療の質,療養環境,安全性,サービスとして表現されており,病院は,その全統治機能と運営管理を担っている.病院は通常,組織体として,診療部,看護部,薬剤部,事務部,企画情報部などの部門別構成形態で表現されているが,それはいわば単なる職種分類であり,相互作用からなる本来的な病院機能を反映したものではない.

 各部門の体制は強固であり確立されたものであるが,部門は独立してガバナンスを発揮できるわけではない.トップダウンにより各部門でBSC(バランスト・スコアカード)の作成が求められることが多いが,結果は部門のコストセンターとしての特殊性が色濃く反映されたもので,BSCに名を変えた目標管理,方針管理に留まり,発展的意義を見出しにくい.それにひきかえ,診療科あるいは病棟は,多くの職能集団の実践の場であり,病院総体のミニチュア版と言えるため,診療科単位あるいは病棟単位こそが,病院の意向を汲んだうえでガバナンスを発揮できる存在形態であり,BSC導入に最適の場と考える.

参考文献

1)田中信孝:BSCを用いた外科戦略―旭中央病院.髙橋淑郎(編著):医療経営のバランスト・スコアカード―ヘルスケアの質の向上と戦略的病院経営ツール,生産性出版,2004,pp163-176

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?