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文献詳細

雑誌文献

病院69巻5号

2010年05月発行

特別寄稿

テレビドラマの中の病院(前編)―米国ドラマ『ER』と韓国版『白い巨塔』・台湾ドラマ『ザ・ホスピタル』

著者: 渡部幹夫1

所属機関: 1順天堂大学医療看護学部

ページ範囲:P.368 - P.371

文献概要

 マイケル・クライトンが昨年亡くなった.ハーバード大学医学部を卒業した医師でもある作家として,また映画やテレビドラマのプロデューサーとして多くの作品を遺した.彼の作品の1つであるテレビドラマ『ER』も15年15シーズンにわたる300回を超える作品として残された1)

 筆者は,第1話から今後日本で放映予定の15シーズンまで,日本語版全話の医学監修を引き受けてきたが,15年の間にアメリカを中心とした現代史も日本の歴史も,日米の医療を取り巻く環境も激変した2).このドラマの面白さに魅入られた翻訳者・演出家・声優諸氏・その他スタッフは,日本語版として全話を制作することに特別な熱意を持っている.実際,長期にわたったにもかかわらず,日本版制作メンバーは初回から今まで,ほぼ変わらずにきた.筆者も最終回まで無事に終えたいと思っている.この仕事の間に,韓国版『白い巨塔』3)と台湾ドラマ『ザ・ホスピタル』4)の日本語版制作にも協力した.

 本稿では2回にわたり,筆者が医学監修で携わった米国と東アジアの医療ドラマを紹介しながら,これらを観ながら感じた,ボーダレスな世界における“病院”について,若干の考察を試みる.

参考文献

1)『ER 緊急救命室』(原題:ER)DVD-BOX 1-13シリーズ,ワーナー・ブラザーズ・ジャパン,1997-2009 NHK BS2およびSuper! dramaTVにて放送中
2)渡部幹夫:『ER』で学ぶアメリカ医療現場.中央公論 113(6):232-238,1998
3)『白い巨塔(韓国版)』DVD-BOX1・2,コリア・エンターテインメント/CJ Media Japan,2008
4)『ザ・ホスピタル』DVD-BOX Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ,NHKエンタープライズ,2008
5)竹村健一:メディアの軽業師たち―マクルーハンで読み解く現代社会,ビジネス社,2002,pp190-207
6)山崎豊子:白い巨塔,1965,白い巨塔 続,1969,新潮社
7)侯文詠(著),樋口裕子(訳):ザ・ホスピタル上・下,角川書店,2007(原題:白色巨塔,皇冠文化出版,1999)
8)Diem SJ, et al : Cardiopulmonary Resuscitation on Television―Miracles and Misinformation. N Engl J Med 334(24) : 1577-1582, 1996
9)Baer NA : Cardiopulmonary Resuscitation on Television? Exaggerations and Accusations, N Engl J Med 334(24): 1604-1605, 1996
10)Markert RJ, et al : Correspondence Cardiopulmonary Resuscitation on Television. N Engl J Med 335(21): 1605-1607, 1996
11)O'Connor MM : The Role of the Television Drama ER in Medical Student Life : Entertainment or Socialization?. The Medical Student JAMA 280(9) : 854-855, 1998

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

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