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文献詳細

雑誌文献

病院69巻5号

2010年05月発行

文献概要

連載 より良い高齢者終末期ケア体制の構築に向けて・5

米国の高齢者終末期ケアの動向④―終末期の意思決定(下)

著者: 岡村世里奈1

所属機関: 1国際医療福祉大学大学院医療経営管理分野

ページ範囲:P.375 - P.378

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 前回紹介したように,米国では,患者の希望する終末期ケアを実現するためには,事前指示(自分が受けたい医療について自分で判断することができなくなった場合に備えて,あらかじめ自分が受けたい医療内容について指示した書面や自分の代わりに判断してくれる者を指示した書面のこと)が有効であると考えられている.そのため,1980年代後半以降,米国では,各州でこの事前指示に関する法律が次々と制定されている.また,1990年には連邦患者自己決定法が制定され,医療機関や介護施設に対して,入院の際に患者に対して事前指示作成の権利があることを伝えること,患者が希望する場合には事前指示書作成の支援をすることなどが義務付けられている.

 しかし,こうした法制度の整備にもかかわらず,米国の終末期医療やケアの現場では,事前指示が有効に活用されていないという報告が数多くされている.そこで現在,米国の終末期医療やケアの現場では,事前指示を有効に活用するためのいくつもの取り組みが行われている.そこで,今回はこれらの取り組みのいくつかを紹介していきたいと思う.

参考文献

1)Hammes BJ, Romer AL : The Lessons from “Respecting your Choices”An interview with Bernard Hammes. Innovations in End-of-Life Care 1(1) : 19-38, 1999
2)Hammes BJ, Rooney BL:Death and End-of Life Planning in One Midwestern Community. Arch Intern Med 158(4) : 383-390,1998
3)Eidsness LM, et al : Advance Care Planning. S D Med, Spec No. : 12-18, 2008
4)Lynn J SJ,Kabcenell A : Beyond the Living Will : Advance Care Planning for All Stages of Health and Disease. Improving Care for the End of Life : A Sourcebook for Health Care Managers and Clinicians, Oxford University Press, p109, p110, p122, 2008
5)前掲注4),pp73-90
6)この取り組みは,現在では,全米規模の非営利団体である”Aging with Dignity”によって運営されている.詳細については,Aging with DignityのHP(http://www.agingwithdignity.org/index.php)を参照
7)日本語版は,http://www.agingwithdignity.org/catalog/nonprintpdf/Five_Wishes_Multi_Final_JP.pdfにて閲覧可能である
8)Epstein RM, et al : Communicating Evidence for Participatory Decision-Making. JAMA 291(19):2359-2366, 2004
9)詳細については,EPECプロジェクトのHP(http://www.epec.net/EPEC/Webpages/index.cfm)を参照
10)Pope TM, Waldman EA : Mediation at the End of Life: Getting Beyond the Limits of the Talking Cure, Ohio St J Disp Resol 23(1):143-194,2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

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