文献詳細
特集 災害と病院
【災害発生~そのとき現場は】
文献概要
平成7年1月17日午前5時46分,突然大きな地響きとともに,大地震が阪神淡路を襲った.マグニチュード7.2の直下型地震.死者6,434人,負傷者約4万3,000人,倒損壊家屋25万棟以上という,戦後最大の大災害となった.直接・間接的に多くの市民が様々な被害を被り,子どもや肉親を失った悲しみ,住み慣れた家が倒壊もしくは焼失した辛さ,長期間の避難所生活の苦しみ,それこそ筆舌に尽くしがたい苦難があった.
そして,15年が経った.折に触れて,家族や病院職員とも地震の話をするが,その回数もめっきり少なくなった.病院の被害は甚大でその復興には心血を注いだつもりであるが,その時の辛さや苦しみはほとんど忘れてしまい,今となっては若干の懐かしさを覚える.このような感覚は,程度の差はあれ,決して私だけのものではないだろう.スタンダールは「思い出の美化作用」と言っているが,「時が経つ」ことの副次的なこの作用に感謝せずにはいられない.
そして,15年が経った.折に触れて,家族や病院職員とも地震の話をするが,その回数もめっきり少なくなった.病院の被害は甚大でその復興には心血を注いだつもりであるが,その時の辛さや苦しみはほとんど忘れてしまい,今となっては若干の懐かしさを覚える.このような感覚は,程度の差はあれ,決して私だけのものではないだろう.スタンダールは「思い出の美化作用」と言っているが,「時が経つ」ことの副次的なこの作用に感謝せずにはいられない.
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