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特集 死生観が問われる時代の医療
樹木葬と里山の自然再生―小さな生命との触れ合いで癒しの効果
著者: 千坂げんぽう12
所属機関: 1祥雲寺,知勝院 2久保川イーハトーブ自然再生協議会
ページ範囲:P.507 - P.510
文献購入ページに移動中世までの葬送では,死体のケガレが嫌われ,住居から離れた所に葬られるのが主流であった.平安時代に作られた餓鬼草紙の1枚は,塚付近の死体が野犬に食いちぎられている様子を描いている.このことからウメハカ(直接遺体を埋めた場所)は,ほとんど顧みられず放置されたままであったことがわかる.
藤原道長は一族のウメハカがある宇治の木幡に浄妙寺を造ったが,その動機は,木幡に参った時,祖父の墓も定かでなく鬼気迫る状況であったからとされる.公家においても肉体は重要視されず,魂の救済がなされれば良いとする傾向が強かった.一族の権力が永遠に続くことを願う聖なる宗教行事は寺院などに属するマイリノハカ(供養するための墓石がある場所)で行われたのである.
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