病院69巻7号

2010年07月発行

特集 死生観が問われる時代の医療

病院内の自殺事故―その予防と事後対応

著者： 河西千秋¹ 加藤大慈¹ 橋本廸生²

所属機関： ¹横浜市立大学医学部精神医学教室 ²横浜市立大学医学部医療安全管理学

ページ範囲：P.511 - P.515

　わが国で自殺問題が深刻化している．自殺者数は，昨年まで12年連続で毎年3万人を超え，自殺率（人口10万人対の自殺者数）は25前後と，先進国中で最悪の水準のまま推移している^1，2）．

　この状況を受け，2006年10月に自殺対策基本法が施行され，2007年6月には自殺総合対策大綱が策定され，自殺を「社会的取り組みで抑制する」という方針が国によって示された．大綱には9つの喫緊の課題が掲げられている^2）（表1）．

参考文献

1）内閣府：平成21年版自殺対策白書，2010

2）内閣府共生社会政策統括官：自殺対策．http://www8.cao.go.jp/jisatsutaisaku/index.html

3）河西千秋：自殺予防学，新潮社，2010

4）南良武，岩下覚，河西千秋：精神科領域における医療安全管理の検討　その1：病院内における自殺に関するアンケート．患者安全推進ジャーナル 13：64-69，2006

5）The Joint Commission : Sentinel event statistics, updated through December 31, 2009, http://www.jointcommission.org/SentinelEvents/Statistics/

6）認定病院患者安全推進協議会・精神科領域における医療安全管理検討会：病院内における自殺予防提言．患者安全推進ジャーナル 17：6-10，2007

7）川野健治，青木葉子他：自死遺族を支えるために：相談担当者のための指針．厚生労働省ホームページ，http://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/jisatsu/