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特集 病院のサステナビリティ―事業継承を考える
わが国の医療政策と病院の経営持続可能性
著者: 尾形裕也1
所属機関: 1九州大学大学院医学研究院 医療経営・管理学講座
ページ範囲:P.582 - P.585
文献購入ページに移動近年,「持続可能性(sustainability)」という言葉が,わが国の医療界においてもしばしば使われるようになってきた.もともとこの言葉は,「持続可能な開発」や「持続可能な成長」といったように,環境の保全や資源制約等を前提として,これらの諸前提と調和しつつ,長期的に持続しうる発展や経済成長を表わす(促す)ために使われてきた言葉であった.例えば,有名な「地球サミット」(環境と開発に関する国際連合会議:リオ・サミット,1992)において採択された「アジェンダ21」においては「持続可能な開発(sustainable development)」という概念が随所に盛り込まれている.
一方,わが国の医療界においては,例えば2005年10月に公表された厚生労働省「医療制度構造改革試案」の冒頭の基本方針において次のように述べられている.「我が国の医療制度は,急速な少子高齢化,経済の低成長への移行,国民の生活や意識の変化等大きな環境変化に直面しており,21世紀においても真に安定し,持続可能なものとするためには,医療制度の構造改革が強く求められている」(下線は引用者).ここでは,医療制度をめぐる「環境」に大きな変化がある中で,医療制度の「持続可能性」を高めること(そのためには医療制度の構造改革が必要であること)が強く主張されている注1).逆に言えば,「構造改革」なしにこのままの状況を放置しておけば,わが国の医療制度は「持続可能」ではなくなる,ということになる.2006年のいわゆる「医療制度構造改革」は,(その内容の当否は別として)こうした強い危機感に基づくものであったと言える.
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