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雑誌目次

雑誌文献

病院7巻2号

1952年08月発行

雑誌目次

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病院協會の新幹部に望む

ページ範囲:P.2 - P.2

 東京,新潟の病院協會を中心に折からの病院運動の流れに乗つて,全國10數縣の病院協會を全國的に統合しようとして,有志が集つたのは1年前の昭和26年3月であつた。
 當日集つたのは,北は仙台,岩手から,西は四國,九州代表に至るまで,數十名であつたが,その熱心さは,時既に至るの感を深くせしめて,發起人が却つて,煽られる形であつた。

第2回日本病院學會總會—演説抄録

著者: 青木義治 ,   片山壽子 ,   今村榮一 ,   吉田ますみ ,   守屋博 ,   武藤多作 ,   片山弘 ,   眞銅參太郞 ,   金子敏輔 ,   小穴聰 ,   木村英雄 ,   高橋敏行 ,   尾口平吉

ページ範囲:P.3 - P.11


橋本寬敏學會長挨拶
 終戰後新しい日本の建設を標語として色々の改革が行われましたが,醫業及醫學教育の體制にも劃期的の變革がありました。7年の占領が終りをつげ,曲りながらも獨立國家とし獨歩することとなりましたが,この機に際して,これまで強いられて改めた制度のうち理念においてはすぐれているが,わが國状に適しないものは修正,調整しようとする企みがいづれの方向にも多くあります。
 これは誠に當然のことではありますが,この機に乗じて,すべての新しきものを戻して,戰前或は更に昔の状態に復古しようとする反動的の逆コースを志す企てもないではありません。すべて昔の思出は樂しく感ぜられますが,必ずしも良いものが實在したとは限りません。時代が變れば,昔を今に再現することは不可能であります。それを無視して,ただ昔に歸ろうとすれば,それは時とともに成長發達する自然の大法則を否定する老人的頽廢思想であります。

第2回病院學會總會見聞記

著者: 吉田幸雄

ページ範囲:P.12 - P.13

 日本病院協會の總會は6月に開催と昨年の設立總會で定められたのであるが,6月という時期は梅雨期で,餘り關心した時ではないので,本年は6月上旬であるから先づ降り込められることはないだろうと豫測して見たものの,當日になるまで何となく不安な氣持ちに支配されていた。
 幸い當日は快晴とはいかなかつたが,やゝ蒸暑さを感ずる初夏の日ざしのさす先づ上の部の天氣で,これでは一先づ安心と,9時チヨツト前に,聖堂の門をくゞる。

近代歐米に於ける手術室の特徴

著者: 卜部美代志

ページ範囲:P.14 - P.21

—手術室の設計—
 此處に記述される手術室の模樣は勿論建築專門家の觀察ではなく,一外科醫の眼に映じた殊に從來の吾が國の状態と異つた點を述べたに過ぎないことを,豫めお斷りしておきたいと思う。
 吾が國の從來の手術室は比較的大きなものが1個乃至2個の少數ずつ,各科に別々に設けられていた。この少數大手術室組織は主として獨逸から傳つて來たものと想像される。事實これは現在に於ては日本を除いては世界で獨逸にだけみられる状態のようである。

救急室

著者: 今村榮一

ページ範囲:P.22 - P.26

 病院における外來患者の診療時間には制限がある。病院は入院患者の診療が本筋だからと外來を早く切り上げてみても,患者は時間に關係なく診療を求めにくる。救急車で送られて來ることもある。又日曜,祝日などに來院するものもある。こうして不時に病院に來る患者を「緊急患者」とも「臨時患者」とも「定時外患者」とも呼ぶことができよう。ここでは簡單に「急患」という名稱で取扱つていこうと思う。この急患をどこでどういうふうに處置するかということは少し大きい病院では無視できない問題である。外來が閉つてしまつたら病棟で診察すればよいではないかと簡單に解答を出す人もあろう。そして現在大學の附屬病院はじめ多くの病院では各科毎に病棟で診察していることが多い。しかし多くのところでそうしているからといつてそれで割り切れているわけではないらしい。病院が患者のための病院として本來の機能を發揮することを期待する際には,この不時の來客をどうもてなすかを一應考えてみることは必要であろうと思う。
 病棟に外來の患者を入れるということは病院のあり方からいつておかしいことであり,又不利な點が少くない。病室は靜かであるべきものであつて,外來者などで騒しくなるべきものではない。又患者が麻疹,百日咳,赤痢,ジフテリア等の傳染性疾患であつたならば院内感染をひきおこすおそれも生じてくる。

メジカル・ソシアルワーカ執務基準(3)

ページ範囲:P.27 - P.34

記録と報告
 ソシアルワーカーが取扱つた各々のケースについて記録を作つておくことは,ケースワークそのものを正確にするばかりでなく,この仕事を發展させるためにも有力な資料とし役立つものであるから,記録は必ず殘す習慣をつけること。また記録についての技術をも心得ていなければならない。

醫療社會事業技術論(Ⅱ)

著者: 松尾友重

ページ範囲:P.35 - P.42

次に今少し面接の條件について考えてみよう。面接室(Interviewing Room)
 面接室にういては先にも少し觸れておいたが何よりも大切なことは他から隔離されているということである。この場合は心理的な安定感に重點があるのである。從つて嚴密に言えばClientの視覺聽覺に對する刺戟に關しても配慮してあることが望ましい。この事から周圍が壁であること及び心理的に落着く色彩であること或いは花のあること等色彩,音響,裝飾,繪畫,等を適當に組合せることにより效果を,上げることが出來る。色彩はグリーン系統がよく,比較的暗色よりも淡色がよい。壁で仕切りのない場合はカーテンでもよい。ただし餘りゆれないように固定しなければならない。同時に他の室の理學的條件,例えば採光,通風,温度,濕度等室内の環境調整も必要なことである。このようなことは四季を通じて適當に調整することを要する。

病院關係人事消息

ページ範囲:P.42 - P.42

◇井村 恒朗氏 國立精神衞生研究所心理學部長を兼任。
◇平福 一郞氏東大助教授の氏は厚生技官を兼任し國立精神衞生研究所生理學形態學部長に就任。

能率的な給食管理を行つて居る一日本旅館に就いて

著者: 橫井稔

ページ範囲:P.43 - P.46

 過日,病院管理研修所の守屋主事と病院課の橋本技官が當地に來られた時,一緒に第一瀧本館の調理室を見,日本旅館にしては仲々炊事管理が良く出來て居り,我々病院にとつても何等かの參考になることもあると思われるので,一筆書くことを慫慂され筆を取ることにした。
 私共病院管理をやつている者達が集まる時,いつも口に出ることは病院食事の不味いこと及び業務がなかなかスムースに運營されていないことだ。これを私の病院に例を取つて見ても,皆さんに是非見に來て下さいとは,とても恥かしくて言えない。亦他方調理場等の諸器具が一應整理されて居る病院を見ても,之等諸器具がフルに運營されて居るとは限らないし,亦調理内容も限られた金額内でもつと有效に使用されてもいいと思われる點をしばしば見聞して居る。

外科外來勤務看護婦のタイムスタデー—病院管理研修受講を終えて

著者: 村上正固

ページ範囲:P.47 - P.50

 昭和26年度第2回病院管理研修は,昭和27年1月22日より2月21日まで,丁度1ヵ月間開催された。受講に選ばれた私は,個人的な名譽と,同時に責任を感じたのである。
 所長坂口先生,主事守屋先生はじめ,講師として,厚生省關係から8名,東一關係から12名,その他8名という多くの先生から,熱心な講義をうけることが出來,此處に改めて,感謝の意を表したい。

日本病院協會だより

ページ範囲:P.51 - P.55

A.醫療機關融資會議日時 4月15日 於濟生會  本部
1.參加團體 日赤,濟生會,日醫,日歯,厚生省醫務 課,厚生連,日病協
2.厚生省より現行醫療金融の方途について表を提出し 各部門に亘り詳細な説明があつた。

編集後記

著者: 小西

ページ範囲:P.56 - P.56

 前號で豫告の通り,本號は第2回病院學會總會記事を中心に編集した。學會記事に先立ち,本學會の親元である日本病院協會の過ぐる1年間の歩みを回顧し,併せて將來の順調な發展を期待してこれに關する社説を掲げた。これは,同協會の機關誌でもある本誌としては當然なすべきいわば自己反省でもあり,標題に掲げた如く協會幹部に對する世論を代辯するものでもある。日本の病院を1日も早くそのあるべき姿に脱皮させたいと願う吾々病院人としては,折角生れたこの病院協會に非常に大きな期待をかけている。全國の病院を横につなぐ唯一の民主的な團體として,將又國外に對する我が國の病院の代表機關としてその責務は頗る重大と云わねばならない。ここに敢えて直言する所以は,全國に澎湃として起りつゝある病院運動の氣運に應えて緊褌一番,奮起を望む主意に外ならぬ。
 病院學會の使命,今期學會の内容及び實況については,橋本會長の挨拶,演説抄録並びに吉田氏の見聞記より充分うかゞい知ることができると思うので蛇足は不要であろう。唯今期學會を通じて感じたことは,本學會の特徴としてもつと廣く門戸開放をすべきではないかということである。所謂病院管理者のみの集まりではなく,病院に働く各職種の人達にも進んで參加して貰える樣にしたいものだと思う。

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

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