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雑誌目次

雑誌文献

病院7巻3号

1952年09月発行

雑誌目次

第2回病院學會特別講演

諸外國に於ける社會保險診療報酬

著者: 內野仙一郞

ページ範囲:P.2 - P.9

 昨年から本年の初めにかけまして社會保險診療報酬の關係で保險者側——保險者側と申しますのは健康保險で政府と組合と兩方ございますが——と醫業家團體とでも申しますか,醫業家の方々との間に,診療報酬の引上問題に絡みまして相當の對立があつたわけであります。近頃の流行語で申せばピン・アツプと申します。これは何も日本だけに起つたものではないのでありまして,いままでも,あちこちの國々で紛爭がありました。世界社會保障協會というのがございます。ここの會議議題が最近わが國にも屆きました。それによりますと「保險者と醫業家團體との關係」というのが主題になつておりまして,來年の夏頃會議が開かれることになつております。わが國からも誰かゆくことになつておるらしいのでありますが,この趣意書の中におきましても「現在健康の保險制度を持つている諸國ではこう云つた紛爭が非常に屡々起つている」ということが謳つてあります。また,「これは保險者にとつても極めて困難な問題ではあるけれども研究調査することによつて何等かの共通的な妥決點と申しますか,圓滑に運營するための會議がなされなければならない」というようなことも謳つてございます。兩者間の紛爭が決して珍らしいことでないという例は,只今から約12,3年ばかり前のことでございますが,1940年當時イギリスに相當大きい紛爭が起きたことがございます。

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病院理事會組織の考察

著者: 金子敏輔

ページ範囲:P.10 - P.11

 近代病院はその所在Communityに對する醫療サービス及其他の在り方からみて對外的な病院が如何にその地域社會の保健衞生及治療標準を保ち奉仕しているかということを經營管理上考えなければならぬ。即ち病院内から社會を見た場合である。又反對に病院はその所在する社會から病院を見る立場で運營されることが望ましいのである。即ち外から病院を見てその地域社會の感覺を反映して經營されることである。近代CommunityはHospitalに對して近代病院の在り方の最高水準を期待している。Communityの施設の中で病院ほど社會福祉に對する性格を發揮する中心はない。病院はそれが官公私立を問わず或意味に於てCommunityのものである,し又Publicのものである。これはPublicに對しなくてはならない奉仕機關である。從つて絶えずCommu-nity Serviceの立場から經營され,その社會の立場から自ら方針も決まるのである。病院から社會に對してはその病院の醫療サービス其他の在り方に就てCommunityに於て認識してもらわなければならぬ。こんな意味からして病院のPublic Relation即ち今日唱導されるP.R運動が病院に於ても深く考えられるのである。病院は社會人によつて病院の經營上の方針や醫療保健衞生の奉仕センターであることをどこまでも知つてもらわなければならぬ。單に病人の來るのを待つていうという消極的考えでは最早いけなくなつた。

寢臺の研究

著者: 上田篤次郞

ページ範囲:P.12 - P.15

I 緒言
 種々の疾病そのものに對する治療法に關しては,最近特に目覺しい進歩が認められますが,疾病治療に必要缺くべからざる安靜は具體的に如何なる注意を以てすれば,最も合理的に保持し得るかと云う問題に關しては,系統的に研究されたことを寡聞にして知りません。特に結核治療に於ては安靜と云うことが重要事項として廣く強調されて居るに拘らず,長期臥床者の寢具,特に床(とこ)の影響に關しては大なる關心が拂われているとは思えず,甚しい場合には不愉快な褥瘡の發生を見る場合もあり,又患者でなくても,健康者が疲労を恢復し日々充實した活動力を保持する爲には,十分なる睡眠の必要が叫ばれながら,「床が變ると熟睡出來ない」と云う誰でも經驗していることの原因は探究されて居りません。私も先年A型パラチフスで入院した際,病苦と云うよりもむしろベツトの不適による苦痛に,それこそ文字通り身の置き所に苦しんだ經驗を持つて居ります。
 そこで之等の問題を解明し,寢具特に床(とこ)の具備すべき要件を定める目的を以て第1表に掲げた計畫に基いて實験を開始し,目下未だその途中でありますが,今迄に知り得た成績の一端を茲に報告致します。

病院洗濯業務の實施状況

著者: 片山壽子

ページ範囲:P.16 - P.20

 病院の被服管理の一部としての洗濯業務について,國立東京第一病院で實施して居りますことをお話してみます。
 1.東一では軍病院時代の被服類,寢具類がまだ少し殘つて居りますので之を患者に無料で貸して居ります。患者は入院の際歯ブラシと手拭ちり紙位持つて來ればよいようにしたいとの意向で被服の貸與を實施しているのでありますが軍時代のものでも例えば病衣,襦袢の類は少しありますが敷布團は次第に品薄であり敷布等は傷んでも被服費豫算が僅少のため補充がつかず非常に困つて居ります。從つて一部の患者は私物を持つて來て補つて居ります。患者1人に貸す筈になつている被服寢具は次のようであります。

病院管理研修所で3周年記念懇談會

ページ範囲:P.21 - P.24

 東一に附設されている厚生省の病院管理研修所では7月9日設立3周年記念懇談會を開いた。當日の參會者100名餘にのぼり病院管理問題の今後の進展を期待し盛會であつた。以下は當日のあいさつ要點である。

病院内規の實例について(2)

著者: 鈴木智 ,   尾口平吉

ページ範囲:P.26 - P.35

3.入院患者取扱い内規について(3.200)
 入院患者の取扱いは病院業務の中核となるものであり,病院管理の主體をなすと言つても過言ではあるまい。入院部は又同時に病院經理の比重が最も大きく,入院部の收入及び支出の適正なる經理措置が要求される。
 本院において實施している入院内規はこの樣な觀點より數次にわたり改正をしてきたが現行内規の要點は次の通りである。

病院關係人事消息

ページ範囲:P.36 - P.36

◇中谷 吉太郞氏 大阪府北河内郡住道町に新設の河北住道町立病院長に就任。なお同病院には阪大から外科部長に村尾學士,内科,小兒科部長に木津博士,産婦人科部長に香西博士,レントゲン部長に鹽崎技師,齒科部長に大川學士のそれぞれ各部長が就任し診療に從事された。
◇藤原 潤三氏 國立療養所臨浦園醫務課長の氏は國立戸馳療養所長に轉任し同時に同療養所庶務,醫務兩課長を兼任。

温食と食事運搬車

著者: 米持榮次郞

ページ範囲:P.38 - P.39

 食生活の問題は生命の存する限り重大であり,特に病院において完全給食を實施する場合,患者給食をよく摂食するものでなければならない。それには榮養の外に味覺視覺も輕視できないのみならず,その料理に適應した冷温何れかが伴なわないと折角のものが,とかく殘飯になつてしまう。
 患者の嗜好にもよるが,多くの場合年中を通じて温食を望ましい料理が多いであろう。そこで温食を提供するには冬季特に雪國地帶では冷却率が烈しいので,如何にして温かいものを提供するかであるが數多くの病院の情況を視察しても多種多樣であつて成程之はというものは見當らないところからみると,今尚相當大きな研究課題であろう。

日本病院協會だより

ページ範囲:P.53 - P.54

A.常務理事會 日時 6月24日
 1.總會諸議案に對する決議事項となつた各種專門委員會委員の顔ぶれ及び專門委員會開催日程等審議決定。
 イ.病院融資に關する專門委員會(第3號議案)委員熊谷千代丸,荘 寬,齋藤 浩,鈴木篤信,石川一作,藤森 眞治,片山 弘,新潟縣1名,石川縣1名 日時 7月10日 P.1

編集後記

著者: 小西

ページ範囲:P.55 - P.56

 三伏の候,今夏は梅雨あけが遲く急に盛夏が訪れたので,一入暑さを感ずる。寒暑の差が激しい我が國では,暑いにつけ寒いにつけ病院は悩みが多い。患者も醫者も看護婦も炊事夫も,これには尠からず悩まされる。防寒設備のある病院は,それでも少くはないが,防暑即ち冷房設備を備えた病院は先づ稀であろう。歐米では,暖房冷房は病院としての常識らしいが,我が國では百貨店や映畫館にはあつても病院にはない。資力の問題としてあつさり片ずけられてよいものであううか。
 こんな矛盾が,餘り世論の問題にならないということは,考えてみると不思議なことである。東洋人の締めに由來するものなのだろうか。

座談會

臨床醫よりみた日米病院管理(上)

著者: 守屋博 ,   橋本寬敏 ,   上中省三 ,   卜部美代志 ,   榊原仟 ,   吉田幸雄 ,   尾村偉久 ,   千種峯藏 ,   木下正一 ,   山下久雄 ,   小西宏 ,   北本治

ページ範囲:P.41 - P.52

醫師の教育,インターン,レジデント
 守屋/病院管理ということが近頃やかましくいわれて來ましたが,色々變革が行はれている内相當外國のものを取り入れてありますが,我々は必ずしも押しつけられたとは考えていないのであります。しかしこの點,管理者側だけで話しているとお互に,話が分るが臨床の先生方では必ずしも賛成しかねる點があると思います。日本の病院とアメリカの病院と兩方をよく體驗された方,殊に臨床の方から御覧になつた方々にお集り願つて病院管理のいろいろな改革,を比較して戴いて,御意見を伺いたいと存じます。いろいろな問題があると思いますが,順にお話しを伺うことにして,先づ一番に病院と教育の問題から取上げたいと存じます。これは大學病院は勿論その他の病院が,一應醫者の教育機關になつている,その點は日本の病院も向うの病院も同じですが,その教育のやり方というものについて非常な違いがあるんじやないかと,こういう點について。

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

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