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我國の結核療養所の將來—特に醫療及び管理面からの考察
著者: 牧野進1
所属機関: 1國立療養所清瀬病院醫務課
ページ範囲:P.2 - P.4
文献購入ページに移動 現在の日本における結核療養所が,戰前のそれに比して,收容患者の病状とそれに應する醫療内容が全く一變したといつてよい程に相違する事は,肺結核の診療にたずさわる諸家の一致した見解であろう。
例をわれわれの清瀬病院にとつても,これは明らかである。即ち開設された昭和6年から10年位の間では,すべての患者が殆んど大氣安靜療法を唯一の頼みとしてひたすら療養していたので,醫療面では殆んど見るべきものも無かつたのであつた。又當時の肺結核に對する認識不足も相待つて病症も重症となつてから,止むを得ず入院してくるという状態であつたので,入院後に短時日に死亡する患者も多くあつたのである。試みに昭和13年の死亡者をみると,年間在院患者1048名に對し,死亡は371名で,在院患者に對する死亡率は35.4%の多數に達する。そしてこれらの死亡者の在院期間を調べると,半數は6ヵ月以内であり,70%が1ヵ年以内である。
例をわれわれの清瀬病院にとつても,これは明らかである。即ち開設された昭和6年から10年位の間では,すべての患者が殆んど大氣安靜療法を唯一の頼みとしてひたすら療養していたので,醫療面では殆んど見るべきものも無かつたのであつた。又當時の肺結核に對する認識不足も相待つて病症も重症となつてから,止むを得ず入院してくるという状態であつたので,入院後に短時日に死亡する患者も多くあつたのである。試みに昭和13年の死亡者をみると,年間在院患者1048名に對し,死亡は371名で,在院患者に對する死亡率は35.4%の多數に達する。そしてこれらの死亡者の在院期間を調べると,半數は6ヵ月以内であり,70%が1ヵ年以内である。
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