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文献詳細

雑誌文献

病院70巻1号

2011年01月発行

文献概要

特集 病気と社会を考える

人生90年時代の医療

著者: 秋山弘子1

所属機関: 1東京大学高齢社会総合研究機構

ページ範囲:P.24 - P.27

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■先例のない長寿社会

 日本は世界で一番長生きの国である.第2次大戦後まもない1950年には日本の平均寿命は50年であり,65歳以上の高齢者は人口の5%にすぎなかった.20世紀後半に平均寿命の30年延長という驚異的な「寿命革命」を達成した.厚生労働省の平成20年度簡易生命表によると,日本人男性の平均寿命は79.29歳,女性は86.05歳であり,人生90年と言われる時代になった.

 現在,高齢者は人口の23%であるが,20年先の2030年には,実に,人口の3分の1を占める.そのうちでも急速に増加するのが,欧米で「人生第4期」(The Fourth Age)と呼ばれる75歳以上の人口である.図11)に見られるように,20年間で倍増(1,000万人増)し,人口の2割を占める.「人生第3期」(The Third Age)(65~74歳)の人口を数においてはるかに凌ぐ.さらに,2030年には,1割の高齢者が認知症,4割が一人暮らしをしていると予測されている.つまり,80歳,90歳代の一人暮らしが一般的になる.

参考文献

1)辻哲夫:超高齢社会における医療の展望.病院 69(1):14-17,2010
2)秋山弘子:長寿時代の科学と社会の構想.科学 80(1):59-64,岩波書店,2010

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

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