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特集 病気と社会を考える
幸福度と医療・病院
著者: 西川太一郎1
所属機関: 1荒川区自治総合研究所
ページ範囲:P.32 - P.34
文献購入ページに移動 日頃は意識しないが,いったん損なわれるとその大切さを痛切に思い知らされるもの,それが健康である.人々の幸福感を構成する多くの要素の中で,健康は,最も比重が重いが自覚されにくい潜在的な性格を有するものであり,そうした意味では,災害や事故,犯罪,さらには戦争などと類似した属性をもつと言えよう.
しかし一方では,もし不治の病に侵されたらとの不安感に苛まれ,驚くほどに禁欲的な生活を送るという人も少なくない.医療の飛躍的な進歩により,多くの疾病が克服された現代においても,依然,治療が困難な病気が存在する.そうした病魔に対する不安感が,幸福度を著しく低下させることは想像に難くない.
しかし一方では,もし不治の病に侵されたらとの不安感に苛まれ,驚くほどに禁欲的な生活を送るという人も少なくない.医療の飛躍的な進歩により,多くの疾病が克服された現代においても,依然,治療が困難な病気が存在する.そうした病魔に対する不安感が,幸福度を著しく低下させることは想像に難くない.
参考文献
1)経済産業省委託調査(2006年)の個票データを用いて,経済産業省経済産業政策局審議官(産業資金担当)森川正之が分析(荒川区職員ビジネスカレッジ講義(於:サンパール荒川,講師:森川正之)資料,2009年1月22日)
2)袖川芳之,田邊健「幸福度に関する研究~経済的ゆたかさは幸福と関係があるのか~」内閣府経済社会総合研究所,2007年5月
3)富岡淳「経済学における主観データの意義と問題点―幸福度研究を中心として」大竹文雄・白石小百合・筒井義郎(編著):日本の幸福度,日本評論社,pp75-102,2010を引用した,白石賢「幸福の経済学とは何か」(首都大学東京講義資料,2010年5月19日)による
4)Kahneman D, et al : Would You Be Happier If You Were Richer? A Focusing Illusion. Science 312(5782): 1908-1910, 2006
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