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特集 病気と社会を考える 【事例】
双極Ⅱ型障害のためのリワークプログラム
著者: 奥山真司12 秋山剛3
所属機関: 1仁大クリニック 2藤田保健衛生大学 精神神経科学 3NTT東日本関東病院 精神神経科
ページ範囲:P.41 - P.44
文献購入ページに移動これまで気分障害については,「うつ」にのみ注意が向けられており,一生懸命仕事をしすぎた過労から「うつ」になる人は,「几帳面」「メランコリー型」といった特徴からのみ捉えられてきた.ところが最近になって,「うつ」の他に,少し活動性が高くなる「軽躁」の時期がある双極Ⅱ型障害(以下,双極Ⅱ型)が,人口の3.5~5.6%程度存在することが明らかになってきた1,2).しかも,双極Ⅱ型の人は「うつ」が遷延したり,自殺念慮を抱きやすいなどの傾向があり,双極Ⅱ型への治療の重要性が指摘されている1,2).
精神科日常臨床の経験から言うと,双極Ⅱ型の病態は大企業の高学歴ホワイトワーカーの「うつ病・うつ状態」に多く認められる印象がある.これらの人たちは,しばしば職場で業績を上げ,わが国の産業・経済を支えており,しかも,休職から復職する時に,高度かつ高負荷の業務に従事することが多いようである.したがって,双極Ⅱ型の人たちへの復職支援を含む治療プログラムの必要性は,単極型うつ病の人たち以上に高いと考えられる.しかし,こういった双極Ⅱ型に特化した治療プログラムは,ほとんど見られないのが現状である.
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