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文献詳細

雑誌文献

病院70巻1号

2011年01月発行

文献概要

特集 病気と社会を考える 【事例】

双極Ⅱ型障害のためのリワークプログラム

著者: 奥山真司12 秋山剛3

所属機関: 1仁大クリニック 2藤田保健衛生大学 精神神経科学 3NTT東日本関東病院 精神神経科

ページ範囲:P.41 - P.44

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■新たな課題「双極Ⅱ型障害」

 これまで気分障害については,「うつ」にのみ注意が向けられており,一生懸命仕事をしすぎた過労から「うつ」になる人は,「几帳面」「メランコリー型」といった特徴からのみ捉えられてきた.ところが最近になって,「うつ」の他に,少し活動性が高くなる「軽躁」の時期がある双極Ⅱ型障害(以下,双極Ⅱ型)が,人口の3.5~5.6%程度存在することが明らかになってきた1,2).しかも,双極Ⅱ型の人は「うつ」が遷延したり,自殺念慮を抱きやすいなどの傾向があり,双極Ⅱ型への治療の重要性が指摘されている1,2)

 精神科日常臨床の経験から言うと,双極Ⅱ型の病態は大企業の高学歴ホワイトワーカーの「うつ病・うつ状態」に多く認められる印象がある.これらの人たちは,しばしば職場で業績を上げ,わが国の産業・経済を支えており,しかも,休職から復職する時に,高度かつ高負荷の業務に従事することが多いようである.したがって,双極Ⅱ型の人たちへの復職支援を含む治療プログラムの必要性は,単極型うつ病の人たち以上に高いと考えられる.しかし,こういった双極Ⅱ型に特化した治療プログラムは,ほとんど見られないのが現状である.

参考文献

1)Merikangas KR, et al : Lifetime and12-month prevalence of bipolar spectrum disorder in the National Comobiridy Survey replication. Arch Gen Psychiatry 64(5):543-552, 2007
2)Judd LL, Akiskal HS : The prevalence and disability of bipolar spectrum disorders in the US population : re-analysis of the ECA database taking into account subthreshold cases. J Affect Disord 73(1-2):123-131, 2003
3)秋山剛,他:復職へのとり組みの実際―総合病院における職場復帰援助プログラム.現代のエスプリ別冊―心の病からの職場復帰,至文堂,2004,pp208-217
4)奥山真司,他:少人数の集団精神療法をコア・プログラムとしてのリワーク.日精診チーム医療・地域リハビリテーション研修会報告集 9:51-53,2009
5)奥山真司,他:対象を双極Ⅱ型障害に特化したリワーク・プログラム.日精診チーム医療・地域リハビリテーション研修会報告集 10,2010(編集中)
6)Frank E, et al : Inducing Lifestyle Regularity in Recovering Bipolar Disorder Patients : Results from the Maintenance Therapies in Bipolar Disorder Protocol. Biol Psychiatry 41(12):1165-1173, 1997
7)奥山真司,他:リワーク・プログラムにおけるリズム表(社会行動リズム表)の活用.精神神経 111(7): 884-885, 2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

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