文献詳細
文献概要
特集 終末期における延命医療のあり方 【様々な終末期医療】
小児における終末期医療
著者: 中川聡1
所属機関: 1国立成育医療研究センター 集中治療科
ページ範囲:P.774 - P.776
文献購入ページに移動小児であるか成人であるかを問わず,重篤な疾患や外傷などにより,救命困難な病態が生じることがある.特に集中治療の領域では,重症の患者を管理する側面から,患者の死はある一定の頻度で起こりうる.医学が進歩したとはいえ,すべての患者を救命できるわけではない.患者の救命が不可能であることを認識した時に,その事実を患者や患者家族に伝え,死につつあるという状況をどのように受け入れてもらうかが,終末期医療の基本的なカギとなる.
小児集中治療は,わが国では発展途上の分野である.前述のように,集中治療では患者の死はある一定の頻度で起こる.欧米のPediatric Intensive Care Unit(PICU,小児集中治療室)での死亡率は,3~5%程度とされる.つまり年間1000人程度の入院があるPICUでは,毎年30~50人程度の死を経験することになる.PICUの医師や看護師は,これらの死にゆく患者をケアする中で,患者や家族に対してどのようにアプローチすべきかを,絶えず考えることになる.集約化という観点から,PICUの存在は小児患者死亡例の集積につながり,それが死と向かい合う患者や患者家族とどのように接するのがよいかを考える糸口となる.
参考文献
掲載誌情報