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講演録 【フォーラム】医の求めるもの・法の応えるもの―伝えあうことから解決がはじまる
生命科学における医と法
著者: 北川善太郎12
所属機関: 1京都大学 2一般財団法人 比較法研究センター
ページ範囲:P.866 - P.869
文献購入ページに移動「生命科学における医と法」というテーマには,まず「人の健康」と「人の病気」,それに「人の生」と「人の死」を加えた4つの問題がある.これらが医と法との関係の基盤にあるが,そこで重要なことは専門と非専門の関係であろう.これは「人の健康」と「人の病気」の問題では特にそうである.なぜなら,「専門的な問題は専門家だけで議論すればよく,非専門家は専門家に任せておけばよい」とはならないからである.例えば医療過誤訴訟注1)では,医の専門家でない法律家が,医療ミスがあったかどうかについて責任ある判断をしなければならない.このように明確な形でなくても,医と法の間において,専門と非専門の交錯関係はむしろ日常の出来事である.これに対して,「人の生」と「人の死」の問題は,近代ではそうでなかったが,現代ではそれが一変したのではないだろうか.
このような視点から本稿では,医と法の間における専門と非専門の問題を,生命科学における「人の生」と「人の死」の問題から検討してみたい.なお,以下の説明は,医と法の関係で取り上げる事柄の関係でどのような問題点があるかを検討するために,範囲は日本法に限らないことをあらかじめお断りしておきたい.
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