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文献詳細

雑誌文献

病院70巻12号

2011年12月発行

文献概要

特集 何を目指すチーム医療

―【各専門職の裁量権・業務拡大に対する意見】―日本医師会

著者: 鈴木邦彦12

所属機関: 1社団法人 日本医師会 2医療法人博仁会

ページ範囲:P.935 - P.939

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■「チーム医療」の背景と日本医師会の考え方

 「チーム医療」は,従来より病院内で患者を中心とした医療安全を目的として行われてきたものであるが,最近より強調されるようになった背景を考えてみると,主に2つの理由があると思われる.1つ目は医療崩壊,特に病院崩壊と言われる現状において,病院勤務医の負担軽減を図るために他職種の支援を得ようとする考え方であり,ここでのチーム医療の中心は,あくまでも医師である.2つ目は,勤務医の負担軽減をきっかけとしつつも,「特定看護師(仮称)」に代表されるように,各職種の職域・権限を拡大し,より自立を目指そうとするもので,相対的に医師の役割は縮小され,より多職種協働的なチーム医療となる.しかし,あくまでも医療である以上,その中心には医師が存在すべきであろう.

 こうしたチーム医療に対する考え方の違いが,今日の混乱の元になっていると思われるが,日本看護協会(以下,日看協)が主張するようなNP(ナースプラクティショナー)ありきのような考え方も,決して海外の主流であるわけではない.例えば,筆者が本年5月に訪問調査したフランスでは,人口当たりの医師数はわが国よりもはるかに多いが,医師の権限は強く,処方権は医師のみにあり,パラメディカル(医療補助職)はメディカル(医療職)に付いて働くのが大原則である.そもそも看護師はメディカルですらなく1),NPには反対というのがフランスの考え方である.ちなみに,助産師はメディカルとのことであった.

参考文献

1)日本医師会・民間病院フランス医療・福祉調査団:岐路に立つフランス医療―日本にも迫るイギリス化の圧力,報告書Ⅱ,2011,p4

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

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